第2話 日常と未来

とんとんとん


玄関から小さな音が響く

扉を開けると 

一匹の白いうさぎがいた


僕は「待っていたよ」と心おどらせる

どうぞどうぞと部屋に通す


うさぎはのっこりのっこり

部屋の真ん中まで

やってきてどこからか

独楽こまを取り出すと

すぐにくるくると目をまわした


目的を失った独楽は部屋に居すわる

根をはり芽を出したかと思うと

小さな苗木になった


その葉っぱは ほんのりと光り

それぞれ意思があるかのようだ


葉にふれると 僕の色と混ざり

それは姿を変える


ひとつの葉は 鳥になって羽ばたいた

違う葉は 小人になって踊りだす

もぐらになって壁に穴をあけたやつもいる


僕が苗木に夢中になっていると

うさぎはむくっと起き上がり

四つ折りの白い紙を僕の手に渡した


広げても 白い紙のままだった

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