億万長者になりました。

 徳川埋蔵金、見っけちゃった。

 普通にヤバいね、所持金三千円からの大逆転。

 昔はよくテレビで「遂に発見か?!」とかやってたのに最近やらないなー、ってフワッと閃いただけだったのにね、見っけちゃったよマジで。あ、感想ですか? ハハッ、まあでもそういうタイミングだったんですかねー、俺が先か他の誰かが先か、みたいなー? ……いや何してんだ、誰もいないっつーの。

 まあホントに時間の問題だったのかもね。調べてみたらテレビでよく掘ってた辺りまではウチから徒歩で一日半、それならまあ行けるっしょ! なんつって、えっちらおっちら現地に来てみてすぐ分かった。掘り返しまくったのに埋め戻してない穴だらけのだだっ広い更地で、人の気配がするのはチョロッと、ほんの一角。

 見渡せばそこらに形も色もかすれてげて風化した柵、少し歩けば文字もイラストも薄れて読めない看板、足に絡まったのは何かを何かしてたらしい朽ちたロープ、地面に深く浅く刺さるスコップは何本も、何本も、何本も、あちこちに。

 夢を追ってた人達が諦めたのか、諦めなかったのに事故とか病気とかでアレしちゃったのかは知らないけどさ、いざこの場に立ったらみなぎってきちゃったんだよね、その夢は放置じゃもったいないと……!

 ……まあ、せっかく来たからやるしか無いじゃん、みたいな? こんな交通網も麻痺マヒってる中でさ、なんの計画も無かったけどさ、ちょっと流石に徒歩はどうよって思ったりもしたけどさ、他にやる事も無いし、着いてみりゃ穴掘るのって結構楽しいし、まあ来て良かったわ。

 だって先人達サンよ、あと数メートル右で50センチぐらい掘れば良かったんだよ? ソコに埋蔵金あったんだよ? マジでもったいなかった、惜しかったねえ。

 はあー、小判ってイイ匂いがする。ような気がする。気がするような気がする。個人の感想ってコトで。

 でもまあ、ここからどうするかだよなー。見っけちゃったのに使い道が分からん。生まれて初めての嬉しい悲鳴ってやつ。とりあえず掘り出した小判を並べてベッドみたいにしてみたもののコレはヤバい、寝心地悪い、硬い、コレじゃない、絶対違う。

 まあいいや、単純にウハウハしておくか。ヒャッホウと小判をマンガみたいに投げてみりゃ頭に落ちてきて結構痛い、撫でてみりゃ土が取れて黄金に輝く、かな? んー? ピカピカってほどでも無いかな? ヘンな虫とか付いてる。じゃあとりあえず高笑い、ムセた。

 ……いや、違うな? 高笑いでムセたんじゃない。

 夏の隙間に吹く風にフンッと漂う腐敗臭。ソレはそこはかとなく確実に、間違いなく、家を出る時に散々嗅いだ、逃げながら、田舎ならまだマシかと、元から人がいないトコならマシなんじゃないかと……ああこれはマジか? マジのヤツかも?

「……あ」

「ゾーンビー」

「うわマジだ、ヤバいじゃん」

 なんか先月ぐらいに日本中で一斉に発生したゾンビ、映画みたいに街を破壊してたあのゾンビ、こんなド田舎まで回って来てたのかゾンビ。

 ため息、舌打ち、絶叫、全部したい。最初の頃は退治方法とかテレビでよくやってたけど、あんま身近にいなかったから真剣に見てなかったんだよな。ホント俺って最期まで無計画ね、ヤんなっちゃう。

 あ、でも……向こうは一体か。

 一体ゾンビvs一人か、体格差もそんなに無い、何とかなるかな? いや待て俺、武器とか何も、なんも、えっとさ、どうしよっかな、んと、来る、待って、どうしよっかな?!

「ちょ、ちょっと待って!」

「ゾーンビー?」

「まず、ほら、俺を食べても不味いと思う! 丸一日、いや一日以上だ、水しか飲んでねえ! 俺の体にキミの喉を潤せるほどの水分も栄養も無い! だからきっと不味い!」

「ゾーンビー」

「あと、ほら、その、えっとさ! よく来たね! ようこそ! ウェルカム! こんな山奥まで! すごいね!」

「……ゾーンビ?」

「大変だったろ道中いろいろあったでしょ?! あったよね?! 疲れてない?! 疲れてなくてもさ、あっちに川あるから水浴びでもしようよ! それがいいよ!」

「……ゾーン」

 俺が指さしたアッチを向いたゾンビ。

 意外と素直じゃん、意外と通じてるのかも知れない。川、行く? 行っちゃう? 川、なんで川とか言ったんだ俺? 流れてもらう? 流されてくれるか? いやゾンビが流される川なら俺も一緒に流れる? ダメじゃね? いや、戦えないなら頭脳戦だ! 俺に頭脳あんのか?!

「いや大丈夫、一緒に行こう! 俺も風呂代わりに水浴びしたい! 暑いからさ!」

「ゾーンビ」

 もういいじゃん走ろう、大丈夫なワケあるか、背中を見せるのはアレだけど別に思い残す事も無いし、うん大丈夫だ、うん、いや、あるじゃん、あるわ思い残す事、徳川埋蔵金だ、見っけたばっかじゃん!

「まあいいや! 飛ぶぞ! 飛び込め! たぶん気持ちいいから!」

「ゾーンビー!」

 二人で川に飛び込む、仲良く見えるぐらい同時だったかも、なんかビチャッて何かの破片が飛んできた気がする、まあいいか、浅くも深くも無い、穏やか、確認なんて一個もしてなかったけどイイ感じの川じゃん? まあ、こんぐらいの川じゃ流されてくれねえな、ゾンビは。でも……!

「気持ちイイ!」

「ゾーン!」

「お? そっちも気持ちイイ?」

「ゾーン!」

「イイじゃん! なんか俺ら、もしかしてイイ感じじゃね?」

「ゾン!」

「よっしゃ! じゃあさ頼むから友達ね今から友達! だから咬まないでねガチでお願いします死ぬのはまだ怖いっつーかイヤっていうかハハハなんつってアハハハ!」

「ゾン!」

 あれ? 頷いてくれてる? めっちゃ通じてる? コレいけるんじゃね? 咬まれなければ大丈夫、母さんの手に触っても俺は大丈夫だった、咬まれさえしなければ、咬まれない程度の一歩だけ、咬むなよ頼むから、近づく。

「キミ名前は? あるよね?」

「ゾゾゾ」

「えっと、それ作業服? ちょっと見てもいい?」

「ゾン」

 なんかヘンな汁が染みちゃって見辛いけど『ゾゾゾ』ってイントネーションで答えてたし、多分これは『ヤマダ』だな。ボロボロだけど青っぽいツナギの作業服、右半身が全体的に汚れてて肩まで土が付いた跡もある。俺と一緒の汚れかた、これって地面に手を突っ込んでたんじゃないかな、毎日のように……なるほど。

「ヤマダさん?」

「ゾン」

「もしかしてだけどアソコ掘ってた人? なんか一ヶ所だけつい最近までやってた感があってさ、違う?」

「ゾンゾン」

「ああやっぱり? そっかあ、なんかゴメンね。急にみんなゾンビになってんじゃん? 俺だけ逃げまくって無事だったんだけど、一人じゃやるコト無くてさー。昔のテレビとか思い出して掘りに来てみたら埋蔵金出ちゃったんだよね、見っけちゃった」

「ゾーンビーゾーンゾゾゾ、ゾンビゾン」

「おっと急な早口? ……うん、分からん! 文字書ける?」

「ゾン?」

「やってみよう!」

「ゾーン!」

 そっか、手が震えちゃって書くのは難しいな。ヤマダさんと会話をするにはアイウエオ表を書いて木の棒で指してもらう方法で落ち着いた。

 お互い片言で、なんで俺まで片言なんだ、まあ結構時間はかかったけど大体分かってきたぞ。この近くでテント暮らしをしながら埋蔵金探してたヤマダさん、昨日ゾンビに咬まれてゾンビになっちゃったらしい……という事はヤマダさん以外のゾンビが近くにいるかもってコトじゃん。気を付けようが無いけど、まあまあ気を付けなきゃ。意志疎通、イケるな。

 とりあえず、服が乾くまで二人で小判の上で寝転んでみよって誘ってみた。普通にノッてくれた。二人で全裸になってみれば、なんというか、ヤマダさんのお腹に穴が空いてて向こうの景色がチラチラ見えちゃってる。なかなかハードだね。これは奥さんと娘さんを助けようと家に帰ったら木の棒で刺されたらしい。「キャーゾンビ!」ってやつ、反射的にやられちゃったのか……ヤマダさん、ションボリしちゃったな。

「あの……ヤマダさん、いっちょ掘りませんか」

「……ゾン?」

 そう、こういう時は無心で作業に限る、うん。

 掘って掘って掘りまくって、二人で大の字に寝れるぐらいまで小判のベッドを広げてみた。けど、まだまだ埋まってるやつがあるみたいだ。まだまだ出てくる。

「どうしよっかな、これ」

「ゾン」

「なんかさ、もうどうせ世界中がほとんどゾンビなんでしょ? だったらこの小判、ゾンビの為に何か出来ないかな? イイ感じの使い道っていうかさ、なんかに」

「ゾゾン?」

「例えば? んと、ヤマダさんみたいに話せるゾンビを守るような場所を作るとか、ここにいるのは安全なゾンビっすよって言えるようなエリアをさ……え、なに?!」

「ぞーん」

「泣いてんの?! なんかすげえ色の汁出てるよ?! だいじょぶ?!」

「ぞんび」

 もう一回川で顔を洗ってあげて、ついでにブヨブヨな皮膚が取れないように優しく背中も流してやる。と、ガバッとヤマダさんが振り向いた。

 チビッた。

 ヤマダさんは手を、まだらに紫色になってる右手を俺に向けてる。揺れる眼球は真剣に俺を見ていて、裂けた口元は微笑んでる……ような気がする、たぶん……ああ、なるほど。

 ヤマダさんは決めてくれたんだ、じゃあ俺も。

「決めた、小判の使い道! ヤマダさん手伝ってくれる?」

「ゾン!」

 パァーンッと綺麗に決まったハイタッチ、もげて飛んでったヤマダさんの小指がキラキラした川面にポチャッと吸い込まれた。

 ……ごめん、これから気を付ける。

 とりあえず出発だ。山を降りて仲間を見つける事から始めよう。ヤマダさんを咬んだゾンビに気を付けながら、俺の食料とヤマダさんの、うん、まあ、食料? 俺が食料になったりしない? そもそも喉もお腹も破れてるし何か食べれるのか? いやまあ何かが必要だろう、たぶん。

 よし、二人分の食料を調達しなきゃなー、なんて軽いスタートから十分、二十分。

 ほんの少し移動しただけで第一ゾンビ発見。早い、待っ、あっ、ちょっと待って、早くない? まだ覚悟が……ヤマダさん?

「ゾン」

「ゾー」

「ゾゾゾ」

「ゾンゾン」

 ……お? よし、襲って来ない。

 ヤマダさんイイぞ最高、幸先イイぞ。でも第一ゾンビさんは両手が肩から無いからアイウエオ表を指せない、どうしたもんかね、と思ったら。

 スッ……と木の棒を構えたヤマダさんが俺に細かく通訳してくれる流れだ。なんか俺達って最強じゃね。

 ふむふむなるほど、暴れまくる系のゾンビから逃げてきた、じゃあ、第一ゾンビさんはノンビリ系のゾンビなのかな。へえ、そういうヤツの側にいると体をもがれたり首が吹っ飛ばされたりするからイヤ、ああそれで腕が可哀想な事に、なるほど、なるほど。

「じゃあ俺達と一緒にゾンビが平和に暮らせる場所、作ろうよ? そういう乱暴なヤツからみんなで守り合いながらさ、せっかく理性が残ってんなら、ね?」

「ゾゾゾ?」ほらヤマダさんもオススメしてくれてるし。

「……ぞん」

「ああ泣かないで、ゾンビって涙もろいの? ああ汁が、ああもう顔が崩れちゃうからホラ泣かないで」

「ゾン」え、それハンカチ? スゴい色になっちゃってるヤツだけどヤマダさんハンカチ持ってた。なんか紳士だな。

「……ぞーん」あ、使ってる。あんまり強く拭くと顔が。

 まあ、まあまあイイよ、なんか上手くいった。お供が二人になったぞ。三人で山を下りながら、時々戦いながら、時々俺用に木の実探したり魚とったりしながら、ゾンビは肌が乾くと崩れちゃうみたいだから水辺で休憩もしながら。

 結構同じ時間を一緒に過ごして、俺とヤマダさんがやりたい事は上手く伝わってるはずなんだけどな? 小判をあげるから手伝ってくれって言ってんのに第一ゾンビは小判を受け取らない。なんなら二体目、三体目のゾンビ達もフルフルしてるだけ。

 なのにスゲえ働いてくれる。もうあれから一月ひとつきぐらいか? 一軒目の本拠地、町外れの工場にしたんだけど一日で住めるように改造してくれた。元が日本人だからか? にしてもさ? たまに小判を受け取るゾンビがいても、なんかネックレスみたいにしたり、胸ポケットからチラリさせたりしてて意味が分からん。それが役に立ってんだかどうかも分からん。

 まあでも、いいか。

 物資集めたり俺の食料探したりするうちにヤマダさん達みたいなゾンビに沢山出会った。けど、やっぱり生き残った人間に問答無用で殺されたりしてた。助けた俺までゾンビ扱いよ、やんなっちゃう、そんなのさ、そりゃイカンでしょ、いや遺憾イカンって言うんだっけ、お気持ち表明しなきゃでしょ。

 なんか世界に発信とかしてみよっか、ってなった時にヤマダさん超活躍した。埋蔵金掘ってるだけじゃなかった、なんかパソコンとか超詳しいの。元プログラマー? なんですか初耳ですよっていうかアナタなんで埋蔵金なんか掘ってたんすかウケるー。

 さてさて、あとは『証明』だな。ヤマダさん達は人間を襲わないよって証明、宣言みたいなもんかな。その辺りの作戦を穏やかゾンビ達とワイワイしてたら、なんか有名な歌手とかアイドルがいたから10人集めてMVみたいなの作って公開してみた。イケる、うん、この、これヤバくね、ゾンビのミニスカとかアリじゃん。ちょっと肌の色が悪いだけだもんな。

 さあ次は健康管理だ。まあゾンビ達は死んでるけど、こんだけ頑張ったんだから長生きしてもらいたいじゃん。元研究者とか元科学者みたいのも沢山いたからゾンビ達を徹底的に研究してもらって、防腐剤を作ってもらった。これを月に一回飲めば体が腐って崩れるのは防げる。水分さえ適切に浴びてれば永遠に動けちゃうね。

 んで、ここでやっと小判が超役に立った。

 俺の手伝い、掃除とか洗濯とかご飯作ってくれたら小判一枚あげる。小判一枚で一年分の防腐剤が手に入るよ。

 ヤバい、俺天才。

 ゾンビ王国作りで仕事はクッソ忙しいけど、生活は超快適。

 三日寝てないとか猫の手でも借りたいって時は、振り向けばヤマダさんがいる。今じゃヤマダさんは俺の次に偉くなった。いや、たぶん元々こういう人だったんだろうな。意思が強くて頭も冴えてる、技術的な話も感情的な話も上手くまとめてくれる、きっと俺なんかよりずっと社会に必要な人間だったんだ。喉の破れをふさいであげてから、製造を始めたばかりの地ビールやら地酒の試飲ってやつで飲み明かして感じた。

 だから、ちゃんとゾンビの手でゾンビの世界を整えていく。そういう姿を、背中をみんなに見せていこうぜ。だってさ、奥さんと娘に刺されるなんて可哀想じゃん。悲劇は繰り返させないぜって感じ?

 そっから生き残った人間とゾンビの間で法律みたいなルールも作った。お互いに怖くないように、お互いに危なくないように、ね。これ、一番大変だったかも。

 整備が進んでくるとゾンビの家族も増えてきた。知能は少し落ちるみたいだけど、はぐれた子供ゾンビの皮膚の世話をする大人ゾンビがいたり、普通に結婚妊娠出産して家族になったりもしてる。赤ちゃんゾンビとかマジ天使、感触プニプニ、グニャグニャの歯茎で甘咬あまがみとかマジ可愛い。

 んで、何年か経った頃には日本の田舎でゾンビが幸せそうって噂から外国人ゾンビも増えた。Zombieゾンビだな。あんだけ一気にゾンビ人口が増えると、やっぱりゾンビとしての戸籍が必要だった。誰がどこで暮らしてるとかだけでもキッチリ把握して、ちゃんと人間側に開示しとくだけでも安心でしょ。さあコバーンデバーンみたいなノリで役所も作ってやったぜ。狂ってる? それ、誉め言葉ね。

 んでも、やっぱ襲ってくるやつもいる、残念だけど。

 そういうのと戦うのが動けるゾンビの仕事になった。ハイ小判出番デス、一体倒したら一枚あげる、防腐剤買っておいで、ヤバい俺天才、超天才、小判最高、ありがとね徳川さん……――


「お? ヤマダっち、どしたの?」

「ゾンビ」

「ああ、それ発声装置? もう出来るんだっけ。良かったね、やっと話しやすくなるじゃん」

「ゾーン、ゾーンゾンビ」

「うん、ありがとね」

「……」

「……」

「……ゾン」

「ハハッ、いやー、楽しかったね? なんかもう思い残す事、ホントに無くなっちゃったよ」

「ゾンゾンビビ、ゾンビ!」

「あはっ、だいじょぶ……聞こえてるよ、いや……ちょっとヤバいかな……」

「ゾンビ!」

 目の前に突き付けられた手書きの文字、もう俺も老眼だしな、ちょっと待ってよ、いま読んでるから。

 ヤマダっちの字はさ、ずっと震えてるから読み辛いんだよ、マジウケる。


『コエでツタえたかった、ありがとう、と』


 うん、いや、ヤマダっちなら大体なに言ってんのか分かってたよ。


『ゾンビになってくれ、たのむ』


 いやいやいや、俺たぶん百歳ぐらいよ、もう大往生でしょ、こんなポンコツな体で生きるのヤダよ、いやゾンビになったら死んでんのか、いや何だっけ、まあいいや。


『いてくれ、もウすこし』


 もう膝も腰も痛いしさ、もういいよ。


『まだトモに、まだミてないケシキがある』


 うん、まあね。

 でも夕陽も日の出も一緒にいっぱい見たじゃん。キレイだった、充実してた。

 だからさ、ホント楽しかったからさ、もういいよ。

 俺、思ったより役に立ったみたいだしな。

 四十越えて所持金三千円のゴミみたいな引きこもりオッサンがさ、穴掘ってズッ友みつけて大逆転して国作っちゃったとかドコの昔話、民話、もう神話レベルじゃん。

 あ、人間も保護区にしかいないけどさ、まあ仲良くしてやってよ? 滅んでも、まあ滅んじゃったら石碑でも建ててあげてさ。


 あ。


 ヤマダっち、手、出して。


 なんもしないよ、優しくするから。


 ハイタッチ、あの時、川で、指、ごめんね。


 なんか急に思い出した、うん。


 元気でね。


 あ、死んでんのか。


 ……まあ、元気で。



  おわり。

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