100万PV感謝! 夢 (アルス視点)
自分の名前はアルス・デ・ブルボン。
ブルボン公爵家の次男としてもともとこの世に生を受けた。
父親が公爵家の当主であり、母親が亡くなると同時に引き取られた。
母の身分が低いからか最初はいじめられていた。
使用人や同世代の貴族からはもちろんのこと。
最も自分をいじめてきたのが、ルイ・デ・ブルボン。
自分の腹違いの兄である。
母親が正妻ということでよく自分に高圧的に当たってきて、常にひどい目にあってきた。
彼が横暴なのは自分だけでない。
誰に対してもそうであり、敵は多かった。
両親からもほっとかれた結果、横暴にますますなっていった。
だけれどある日。
学園に入学したルイは、突如として失踪した。
いろいろな憶測があるが、子供である自分に真相はたどり着けなかった。
その結果、どういうわけか自分のもとに次期公爵家当主の椅子が転がってきた。
最初は戸惑った。
だって、これまでルイから散々自分は騎士になるしか道がないと刷り込まれてきた。
だから、まさか貴族になれるなんて思いもしなかった。
どうしようか最初は迷ったが、父と義母の懇願もあり実質の長男になった。
騎士学校に通う予定だった自分は、急遽学園に入学した。
最初の頃は卑しい母親の生まれということで、嫌がらせを受けてきた。
でも、何とか公爵家のメンツを守るためそういう奴らも跳ね除けた。
その結果、たくさんの仲間に恵まれた。
イーリスだった、テラだったり、ルルドだったり・・・
良い人脈も築けて、充実した生活を送ることができた。
そして、そろそろ学園を卒業するという頃。
突如として自分の目の前にルイがやってきた。
黒い闇を纏った彼に、どういうわけか決闘を申し込まれた。
最初は戸惑った。
もしかすると、彼の帰りを実はブルボン公爵家は望んでいるのかもしれない、と。
でも、実際は違った。
父も義母も使用人たちも領民も。
自分を応援してくれた。
それに自分は感化され、何とかルイに勝つことができた。
その後ルイを差し向けた裏ボスが登場したりしたが、それも倒して世界に平和が訪れた。
めでたしめでたし―――????
なんていう夢を見たなんて言えるわけがない。
自分がルイ兄様に代わってブルボン公爵家を継ぐ?
そんなところ、想像できるわけがない。
そもそも何でルイ兄様は急に失踪して、数年後に現れた?
そういうところもあやふやすぎる。
「おい、アルス!聞いているのか?」
「あ、すいません」
自分が見た夢の話か。
「よく、覚えていないです。すいません」
あんな夢、語れるわけがない。
ルイ兄様の夢よりもよっぽど非現実的である。
何故なら、自分は今の位置に満足をしているから。
「なら、レーナ!お前はどんな夢をみた?」
その質問に顔を顰めるレーナだった。
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