第192話 影響力
さて、まずは親ルイ派の奴らとの話し合いは一段落した。
色々とこちらが有利になように、かつ、奴らが内部で争うように交渉をしてきた。
その結果、不祥事による大物政治家たち(そのほとんどは反ルイ派議員)の辞職が相次いだ。
大臣が四人、議員総勢二十五人。
もちろん、僕のおかげだ!
新たに大臣の席につく議員のうち三人が僕と繋がっている人間で、もう一人は中立派だ。
議員の大量辞職に伴い各地で選挙が行われることになったが、僕と通ずる親ルイ派の議員たちが多く立候補をした。
こうしてアメルダ民主国の政界は徐々に僕の影響下となっていった。
他方で、経済界も掌握しつつある。
すでに二つの大商会と繋がり、他にもいくつかの有力な商会を取り込んだ。
その過程で、ルイ商会も新たに設立した。
ルイ商会はさらに他の商会を買収してホールディングス化した。
ホールディングスとは、別の会社の株を持つことでその会社をコントロール、支配すること。
所謂、持株会社だ。
前世でも親戚に持株会社社長がいたり、実家自体も多くの会社の株式を持っていたので、そういう経営の仕組みは多少は知っている。
ただ、あんま勉強してこなかったけれど・・・
僕がホールディングス化を提案したら、アルスにめちゃくちゃ驚かれた。
どうやらアルスやレーナも同じことを考えていたらしい。
ということで、ルイ商会改めルイHDの出来上がり!
元々ルイ領で運営されていた商会も吸収して、一大グループとなっている。
アメルダ民主国内に子商会三十、ルイ領に十、帝国国内に三十。
合計七十の商会を傘下に収めている。
実のところ、帝国内に既に商会の傘下があったことを僕は知らなかった。
そこは流石スピンオフ主人公アルス、仕事が早い。
ただし、ルイHDはそれでもまだ上位大商会には届かない。
例えば、ブルボン家が運営する大商会などは傘下商会がゆうに千を超えている。
こういうめんどくさい話は好きではないが、一応概要を説明すると、ブルボン家運営のブルボン大商会は五階層に分かれている。
まずは、トップたるブルボン家。
その下にブルボン家が直轄するブルボン大商会。
その下では次の三つの部門ごとに統括されている。すなわち、第一産業部、第二産業部、第三産業部。
そしてその下に大商会には及ばない中堅商会が二百ほど存在する。
更にその下には弱小商会が八百以上もある。
商会間の上下関係は厳しい一方で、ブルボン家の名前を借りられる利点がある。
それゆえ、年を追うごとに傘下に入る商会は増えている。
ブルボン家は彼らを庇護している。
まあ、ブルボン家が背後についているのだから、よほどの馬鹿じゃない限り彼らに手出しする者はいない。
ブルボン家は、自分たちに言い渡される貴族としての責務や公共事業なども彼ら商会を使っている。
とはいえ他の収入源もあるため、これら商会からの収入はブルボン家財政の約三割程度しか占めていない。
ブルボン公爵家の財政力の凄さがわかるというものだ!
さて、ルイHDの話に戻ろう。
こちらは三階層。
トップである僕、ルイHD、そして傘下商会。
僕はこれで十分だと思っている。
アルスも今はこのままでいいと思っているし。
さて、そんなこんなで確実にアメルダ民主国に根を広げつつある。
既に三分の一の議員が親ルイ派。
経済界も少しずつだが僕の方になびきつつある。
確実に僕の影響力が大きくなってきている。
本国の父からは幾度かお叱りの手紙が届いていたが、全無視している。
何なら転移魔法を使って送られた便箋を実家に直接送り返す、という嫌がらせまでしている!
でも、何だかんだ言っても父は僕の妨害はしてこない。
ブルボン家当主が本気で潰しにかかれば、流石の僕でも勝てやしない。
ということで、多少は自制しつつも好きなようにこの国を荒らし回っている。
今は三学期。
残り三ヶ月で本国に帰ることになっている。
より力を付けて帰るには、もっとアメルダ民主国に影響力を持たないと。
例えば政界にさらに介入するために選挙の応援でもしようかな。
ちょうど辞めた二十五人の国会議員の選挙も行われるし。
うち二十の選挙区で親ルイ派が立候補する。
確実に彼らを議員にさせる。
どんな手を使っても!
勝ちさえすればいいのだから!
不正なんてバレなければいいのだから!
正義は僕にある!
だから、確実に!
さあ、選挙に行こう!
―――
本当に偶然にも都知事選とこの話が被るとは・・・
元からこういう話にする予定だったので、本当に偶然、意図的ではないです!信じてください!
でも最後の言葉は本音です。
※次の投稿は7月10日です!
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