学園編 6章

第136話 快感が!

遂に学園編最終章です。

少し長めでリリスとのバトル、そして留学までの流れを書いていきます!

一話投稿が多くなります、すいません。


―――





着々と準備を終わらせていたある日。


ナーレとしてリリスの側にいたレーナが報告をしに僕の部屋を訪れた。


資料としてまとめてあり、それを僕に見せる。


「で、どうだった?」

「・・・少し想定外がありました」

「何?」


僕は恐る恐る資料に目を通して驚愕する。


「水に雷を使ってくる可能性が高いだと!」

「はい。残念ながら実見することは出来ませんでしたが、本人がそう言っていました」


どういうことだ?展開が早すぎるぞ。


前世に読んだ小説内では、リリスが水と雷の精霊術を扱えるようになるのはまだ先のはず。


僕がこの世界に存在することで時系列が変わったのか?


だとすると、どこまで彼女がそれらを操れるのか分からない。


未知数な部分がある。


小説内で水と雷の精霊術は、水は一つ、雷は二つあった。


難易度は雷の方が高く、扱うのに少し時間がかかるはず。


今はどれだけの練度か分からない。


そこそこのようだから脅威になるとまでは言えないが・・・厄介であることは間違いない。


時を止めるあのスキルだけでなく、他の複数の攻撃にも対処しなければならないのか…


まあ、何とかなるかぁ。


これまでも乗り越えてきたし、心配する必要はないだろう。


「ご苦労、よく分かったよ。対処を考えておく」

「・・・物凄く余裕がありますね、ルイ様」

「そうか?」


まあ、勝てると自負があるからな。まず負けるはずがない。


「彼女、あまり舐めてかからない方がいいですよ」

「それは、忠告か?」

「いえ、進言です」

「…………」



その一方で、会場の準備と裏工作を進める。


滞り無く僕が休学&留学出来るようにしなければならない。


うまく行くように、ラオスやアリオスと策を練る。


一番難儀したのが会場の準備だった。


決闘予定日は、終業式の一週間前。


何故この日にしたのかと言うと、ちょうど成績を教師がつけ終わり一段落する、わりと暇な期間だからだ。


無断で決闘を行おうとしていることを、他の教師たちにはバレないようにしなければならない。


ラオスたちの力を借りながら慎重に準備を進める。


ここで大事なのが言い訳が出来ることだった。


会場として借りた第三運動場。


許可なく決闘をすること自体が校則違反だが、無断で施設を使用することも校則に違反する。なので、会場施設の使用申請書をあらかじめ準備した。


だが、申請する理由を書かなければならない。


申請書に書かれた内容と実際に実施されたものが違うと、それは虚偽になってしまう。


無許可決闘ほどではないが、申請虚偽もやはり校則違反だ。


そうなると、休学(停学)に加えて、さらに何か重い罰を下される可能性もある。


それはどうしても回避したいので、なおさら慎重に行動した。


決闘をすると言ったらバレるし、他の事を主催すると言ったら虚偽になる。


ジレンマだ!


僕は何とか絶妙な言い訳の出来る理由を絞り出して、申請した。



そして、申請書の提出一週間後には無事、会場の使用許可が下りた。


裏ではラオスたちの働きかけもあったようだ。


これで、舞台は整った。


留学するための荷造りも終えた。


言い訳の文章もしっかり用意した。


後はリリスを倒すだけ。


リリスを会場に呼んでくるのはレーナの役割。


ナーレではなく、レーナとしてリリスを会場に呼び出し連れてくる。


決闘は放課後。


当日は少し観客を入れる予定だ。


観客=証人、ということだ。



はぁ〜〜それにしてもついにここまで来たか。


実際にリリスを倒せる日が来るとは思ってもいなかった。


考えたことはあったが、実際に決行するとわかると気持ちが落ち着かない。


僕がこの世界にいる理由、生きている証。


それがリリスという存在に集約されている。


成り上がり共を潰す。


・・・考えてみればリリスが成り上がりを始めるのは実は来年からなのだが。


いや、そんな細かいところは気にしなくていいな。


肝心なのは、リリスが平民でありながらこれから成り上がっていくという事。


そして貴族である僕らを脅かす存在になるという事。


アレックスたち男どもは、後々やればいい。


今はリリスの心をくじき、あわよくば、これ以上、成り上がろうと再起する気さえ失くしてくれると良い。


魔法協会はそこまで考えているだろうか?


・・・まあ無理だろうな、やめさせるまでは。


それにリリスはこの世界の主人公だから、僕にやられても、どうせまた立ち上がってくるに決まっている。


そして、挑んでくる。


だがその時もまた、返り討ちにしてくれる!


これは、快感の循環だ!生きている喜びを堪らなく感じる!


だからこそ今回は、絶対に潰してやる。


公爵家、嫡男として!

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