第121話 帝立学園祭②
午後の担当者に引き継ぎを終わらせた僕とレーナは、校内を見て回ることにした。
と言っても僕が興味持つものなどあまり無い。
出し物は基本的に飲食系。
次に多いのが景品付きのミニゲーム系だ。
前世のように文化祭と言えば、ド定番のお化け屋敷は見かけない。
まず最初に僕たちが向かったのは、少し興味があったプルポ焼きだ。
プルポとは海に生息するタコ型の魔物。
食べることができる魔物の代表例の一つで、前世のタコと味も食感もよく似ている。
そしてプルポ焼きとは、まさしく、前世のたこ焼きとほぼ同じ食べ物だった。
実は、たこ焼きそのものは前世でもあまり食べた経験がない。B級グルメすぎて、親から家柄的に食べるなと禁止されていた。
でも、初めて食べた時のあの味は今も忘れられない。
レーナはプルポを気持ち悪がって興味を示さなかったが、僕は一箱買って早速食べてみる。
少し柔らかくて崩れやすかったが、まあまあ美味しかった。
プルポも固くなく適度に柔らかいので、すぐに飲み込める。
僕は満足して次の所へ向かった。
次に向かったのはマカロンを出している勝ち組の教室。
そこは、第二皇子のクラスだ。
僕らが訪れた時には第二皇子は不在で、顔を合わせずに済んだ。
この国が発祥のスイーツなだけあって、文句なしの美味しさだった。
出されたハーブティーともよく合い、食後の休憩にはうってつけだ。
しばらく堪能していると、
「ルイ様、次は何処に行かれます?」
前に座っていたレーナが聞いてきた。
僕はプログラムを見返しながらしばらく考えたが、
「特に何も決めていない。というか、あまり興味ない」
時間を長く潰せそうな演劇や音楽の発表会は明日、二日目である。
すると、僕の答えを聞いてレーナが言う。
「あの〜、よろしければ行きたい所があるのですが。ルイ様、一緒に行きませんか?」
他に行く所もないし時間が潰せるならと思い、レーナについていくことにした。
レーナが向かったのは第一体育館。
この広い学園にある三つの体育館のうち最も大きな施設だ。
「ここで何をしているんだ?」
レーナは僕の質問に答えず中へ入っていく。
僕も後について入っていくと、そこには異様な・・・というか不思議な光景が広がっていた。
受付のすぐ傍で、横一列に並ぶ生徒たち。
彼らが両手で構えているモノをよく見てみると、銃であった。
その銃が向いている方向の先には、丸い的がある。
近くに説明が書かれた紙が貼ってあったので読んでみた。
説明曰く、これは最近開発された道具を使った遊び体験らしい。
筒状のモノ(銃のことだろう)に魔力を流し込むことでそこから玉が発射される。
それで狙いを定めて的に当てるというゲームらしい。
ん?射的ゲーム?!
何なんだ、この前世感溢れるゲームは!
まあ、ツッコんでも仕方がない。
僕たちもお金を払い、早速位置に付く。
持ち上げた銃、のようなものは意外に軽かった。
持ち手兼魔力流し口に左手を置き、トリガーに右手を入れる。
しばらくすると魔力が吸い取られていくのを感じる。
何とも言えない感覚に襲われた。
そしてある程度溜まったところで狙いを定めてトリガーを引く。
ドーーーン
そこまで大きな音は出なかった。
銃口から放たれた玉は的を逸れ、防御結界の張られている壇上に転がる。
なるほど、少しムズいな。
だが、苦戦するほどではない。
チャンスは三回。
僕はもう一度狙いを定めて打つ。
すると今度は的の端の方に当たった。
「なるほど、面白い」
やってみると思ってた以上の楽しさが。
僕は最後の一発を打ってから、もう少しやろうとお金を追加して払い再び列に並んだ。
それから四回ほどやった僕は満足してその場を後にした。
「ルイ様、少しやりすぎですよ!」
「うるさいな、お前から誘ったんだろ」
「そうですが・・・」
確かに、レーナの言う通り少しやり過ぎたのは反省している。
「で、次は何処へ行くんだ?」
「そのことなんですが、実はこの後、ナーレとしての予定がありまして」
ああ、リリスから情報を盗み出すための変装友人キャラのことだな。
「分かった、行ってこい」
・・・・さて、一人になってしまった。帰るか。
その後、無断で家に帰った僕はクラス担任の先生とアルスに叱られるのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます