第8話 キリトリノワナ

 何か事件が起こるたびに、そうたくさんでもないですが、それでも、一定数必ずと言っていいほど出てくるのに、こんな手合いがいます。


「そのマスコミ報道は「キリトリ」だ!」


 キリトリ = 報道者が意図的に切取った内容。

 まずは、そのように御理解を。


 そこで扱われている事件や内容には、全体というのがある。

 さすがに、全部を報道するわけにもいかない。

 一番肝心なところを「引用」の要領で切り取って世に知らしめる。

 それが、報道というものである。


 ではなぜ、それを「キリトリ」であると、彼らは主張するのか。

真実が見えない「引用」、恣意的なズームのかかった報道。

 そういうものだと、言いたいのでしょう。

真意はそうじゃない、真相はそこで言われるようなものではない。

 ま、そうも言いたいのでしょうよ。


 だが、そんなことを言う割に、テメエの主張はどうなんだ?

 となると、テキメン、この層、なんとやら。

 都合のいい(悪い)ときだけはそういうことを言うが、そうでなければ言わない。都合がよければ(悪ければ)、わかりやすい「引用」なのでしょうよ。


 大体、マスコミのキリトリ云々とほざいているのは、

ぼくって、物事の全部が見えている賢い人物なんだよ! すごいだろ!

 と言いたいだけの「低能」であることを自ら大声で自白しているだけ。

 もっと言えば、わめいとるだけ!

ぼく、社会の仕組みがわかっているんだよ。すごいでしょ。

 そう言いたいだけのことよ。

 キリトリノワナを指摘しているように見えて、その実、真偽不明なキリトリノワナをオオカミ少年も顔負けの大声でわめいているだけの雑魚ってことです。

 だったら、全体像をテメエの言葉で説明してみろよ。

 ま、無理だからそういう言葉を発しているのだろうけどね。


 というわけで、低能の特徴の一部を「キリトリ」してみました。

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