第75話 (後日談6)トラブル続きの再入国③

入国隔離ホテルから解放されるにはPCR検査を何度も受けなければなりません。


然しロックダウン解除以降、このPCR検査結果を管理するスマホアプリがどんどん高度化(?)した結果、新たなトラブルも発生していたのですが、私もこの入国隔離でトラブルに見舞われました。


入国隔離の翌日、同時にPCR検査をされている家族は半日後には結果が出たにも関わらず、私はいつまで経っても結果が反映されません。


隔離ホテルの管理者に電話するも「待っていれば反映されるから」と回答するのみ。

然しその後も私だけ結果反映が遅れて出るので、徐々に係の人も「おかしいですねぇ」と。


その後、第69話で書いたようなPCR検査漬けの日々の中でも、ときどき検査結果が反映されない事態が発生したことから、自分で色々調べたり周囲の知人に聞いても解決せず。


このように検査表示fが不安定な状態では生活にも仕事にも支障が出ると、最後の手段(?)で上海総領事館の窓口に電話して聞いてみたところ、なるほど、という回答でした。


領事館の方の見解は以下。


・今のPCR検査はスマホアプリに表示されるQRコードを読み込む形式なので、その形で検査を受けた場合はスマホの中に保存されている個人情報と直接紐付けされる


・然し病院などで検査を受ける場合は、病院が入力する氏名・身分証番号(外国人はパスポート番号)・生年月日から本人が特定されてデータが紐づけされる


・日本人は英語で名前を記載する際に欧米人と同様「名→姓」の順番で名前が登録されてしまうことがある


・システム上、名前が「姓→名」と「名→姓」とでは別人として認識されてしまう


・その結果、スマホアプリ上に検査結果が表示されない事態が発生する


・領事館として中国政府に事実確認した訳ではないが、似たような相談事例が少なからずあったので確認したところ、恐らくこういうことだと思われる


なるほど。。。


確かに私のスマホアプリに表示される名前を細かくチェックしたところ、「姓→名」と「名→姓」の両方が存在していることが判明しました。


中国人の知人に、PCR検査アプリで不明があった場合に質問をするやり方を聞き、上記事態を報告し改善を依頼したところ、1週間ほどで無事に「名→姓」に統一されるようになりました。


以降、私は英語で名前を書くときであっても「姓→名」で書くようにしています(笑)


さて、この隔離ホテルのチェックアウト時に再びスマホアプリの健康コードに関連するプチトラブルが発生。


今までの入国隔離では、隔離解除の前に受ける最後のPCR検査結で陰性が確認されると、スマホアプリの健康コードが緑になり、隔離ホテルから解放されていました。


上海総領事館からは、喩え隔離解除となってもスマホアプリの健康コードが赤い表示のままだとアパートやホテルで受け入れて貰えず、最悪、野宿になる事例もあったことから、絶対にアプリが緑になるまでは隔離ホテルから出ないように、との警告も何度も出ていました。


然し解除日になっても私も家族もスマホアプリの画面は赤いまま。

係の人に聞くも「そのうち緑になる」というのみ。


夕方になって「隔離解除時間になったので部屋から出るように」と言われた段階でも赤いままだったので、その旨を訴えるも「下に降りてくれば緑になるから」と説得されてホテルロビーに出ましたが、やはり赤いまま。


係員「隔離解除になったので早くホテルから出て行け」

私 「いや、このまま外に出てもタクシーにも乗れず、アパートにも戻れない」


再三押し問答しましたが、係員から「外に出れば絶対に緑になる」と強く言われた為、不安を抱えたまま已む無く外へ出ました。


するとホテルの門の前にプレハブ小屋があり、そこには防護服の警察官が待ち構えて、隔離解除証明とパスポートを出すように言われ、提出。


証明とパスポートが返却されて、手元のスマホアプリの健康コードを開いてみると、なんと緑に戻っていました!


この時、初めて知りました。

なるほど、スマホアプリの健康コードの色は人力で変えることが出来、警察にはその権限が与えられているのか、と。


後日、当局にとって不都合なデモや抗議の参加者のスマホアプリ健康コードを警察が意図的に弄って色を黄色や赤に変えていたことが判明、流石の中国でも大きな社会問題となりました。

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