第74話 (後日談6)トラブル続きの再入国②

隔離ホテルに入った翌日、部屋の電灯がチカチカ点滅し始めて、これはもうすぐ切れてしまうな、と思ったので隔離ホテルの管理者に電話したところ、


「それでお前はその部屋に住めないくらいなのか?」

「我々は部屋には入れないので我慢できないなら部屋ごと交換だ!」


となかなかに高飛車な態度です。


実は昨晩、家族の部屋でも不都合があって電話したところ、管理者が部屋まで来てチェックしてくれましたし、PCR検査でも検査員が部屋まで入って検査しているので「部屋に入れない」というのは大嘘です。


昔の中国でよく見かけた、売店のおばさんが品物はあるのに面倒で売りたくないから「没有メイヨー(ありません)」と回答していた時代を思い出します。


やはりコロナ禍以降、この国はあの時代に逆戻りしているように感じます。


そんなこんなでホテル隔離もあっという間に6日目。


明日にはアパートに戻れるだろうと思っていたのですが、ここは中国、やはりそう簡単には行きませんでした。


この頃は「7+3」と呼ばれる「7日ホテル隔離+3日自宅健康観察」というのが上海市政府の定めた公式ルールでしたので、この通りであれば明後日にはアパートに戻れることになります。


然しロックダウンは終わったものの、再びジワジワと感染者が拡大しつつある中、市内各所では市政府ルールよりも勝手に厳しくする対応が始まっていました。


ロックダウン中には、上海市政府の基本方針に関わらず、その下の区政府や街道や小区の責任者が、自らの保身の為により厳しい措置を取って問題になっていましたが、再び同じことが繰り返されようとしているようで、この日、隔離ホテルから以下の説明がありました。


・7日の入国隔離が終了しても自宅への移動にはタクシーを含む公共交通機関を使ってはならない

・自宅の所在するエリアが3日の自宅観察受け入れ可であることを前提に、自宅所在地の街道に出迎えの専用車を手配して貰い、その車に乗ってのみ自宅に戻ることを認める

・自宅が受け入れ不可、街道が専用車の手配不可の場合、現在の隔離ホテルにて更に3日(合計10日)隔離とする


すぐにアパートに電話すると、3日間の健康観察の受け入れは問題ないが、街道が専用車を手配するという話は初めて聞いた、街道に確認してみる、とのこと。


暫くして折り返しの電話があり「街道」では出迎えの車は用意出来ないとの、予想された回答が返ってきました。


何度も入国隔離を経験している「隔離ホテルマスター(笑)」の私でも、今回の隔離ホテルは「当たり」だったので、(ロックダウンに比べれば)たった3日隔離が延びるだけだと、ここは諦めて隔離ホテルに延泊することにしました。


今回のホテルは、

・少し古いですが元外資系ホテルなので基本スペックは高い

・掃除はきちんとされていて部屋は清潔

・バスタブあり(感染リスクから使うなと貼紙がありましたが無視して使っていました)

・冷蔵庫もほんのりですが冷える

・窓が開く

ということで、ホテルとしては当たり前ではありつつも、隔離ホテルとしては快適(笑)

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