第72話 (後日談5)感染大爆発
2022年12月、上海では驚くべき勢いでコロナ感染者が増加していきました。
スマホアプリを活用し、2日に1度はPCR検査を受け、その陰性結果が無いと何処にも行けない厳しい管理が行われていましたが、そんな人間の小手先の対応をあざ笑うかのようにコロナウィルスは市中を席巻、周囲で続々と陽性者が出続けていきました。
中国でもこの時期にはコロナ感染者を強制収容所のような隔離施設送りにすることは無くなっていましたが、一方で感染爆発過ぎて医療は完全に崩壊、多くの人は医者に行かず、自宅療養を行っていました。
市中からは咳止めや解熱剤が枯渇、医者に行けない中、薬パニックになっている人もいました。
私は幸い、海外赴任用の常備薬を持っていましたので、解熱剤を持っておらず困っている方に分け与えていました。
本来、薬は処方された本人しか服用してはなりませんが、そんな綺麗ごとを言っているような状態ではなく、また実際に服用するしないに関わらず、手元に解熱剤があるというだけでも精神的な安心材料にはなったであろうと思います。
12月中旬以降は勤務先もほぼ全員が在宅に切り替わり、それでも下旬頃には8割以上が感染するという異常事態。私は幸いにも感染しませんでしたが、この時期に感染していない人は希少動物、レアキャラ扱いされていました。
多くのブラックジョークも出回っていました。
当時ワールドカップサッカーが開催されていたこともあり、年内に感染しなければ準決勝進出、旧正月(春節)まで感染を免れれば決勝進出、といった言い回しも流行っていました。
また、企業往訪を申し入れしたところ「感染しましたか?それならば当社も感染した人を面談に出します」などというブラックジョークも聞きました。尚、これはその後、一時期は本当に実施されており、感染していない人の方が外出や面談がし難いようにな雰囲気にあっており、明らかに異常な状態でした。
後日談の後日談ですが、そんな感染大爆発では幸いに感染しなかったものの、その数か月後、中国の「第二波」が来た当初に私も感染してしまいました。
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