第71話 (後日談4)日中国交正常化50周年イベント

ロックダウンが行われた2022年は、1972年9月に田中角栄総理が北京を訪問し、周恩来総理との間で「日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明(所謂「日中共同声明」)」の調印式を行ってから丁度50年の記念の年でした。


コロナ禍ではありましたが、日中各地で「日中国交正常化50周年イベント」が企画されており、上海でも多くのイベントが予定されていました。


ロックダウンが終わって以降、徐々に再開に向けて動いていましたが、私も当時、上海で企画されていた日中合同イベントに参加を予定していました


然し、運悪くイベント開催日が秋の共産党大会日程と重なった時点から、中国側の対応はどんどん厳しくなっていきました。


中国側の説明は、党大会と重なったことで中国側幹部の関与が出来なくなった、といったものでしたが、日本側の参加者リスト詳細(含むパスポート顔写真ページや居留許可ページのコピー)の提出や準備原稿の中国語翻訳など、従来のイベントでは求められていなかった細かい要請が相次いだことから、そもそもコロナ禍で外国人、特に日本人と一緒にイベントを開催することに対する強い警戒感が伺われました。


コロナ対策も、イベント開催日前日にPCR検査を受けて陰性証明を取得する等、通常の72時間ルールよりも厳しい要請が来ました。


そんな中でも苦労して準備を重ねていたのですが、結局、直前になって中国側から延期(実態は事実上の中止)が通知されました。


日本側参加者、特に事務方を担って頂いた方々はギリギリまで細かい要請に応えようと対応してきたにも関わらずのこの中国側の対応には、一部の日本人から「日中友好イベントどころか分断イベントだ」との不満の声が上がった程でした。


実際のところ、コロナ禍を経て、日中の分断は確実に広がったと感じることが本件に限らず少なからずありました。


イベントはかなり後になって、日本人参加者が大幅に少なくなった中で、ひっそりと開催されました。

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