第57話 プレハブ検査ボックス

2022年5月18日、水曜日。


昨日はホテルの外に出られなかったのですが、今日は出て良いとのこと。

何を理由にして出てよかったりダメだったりするのか、相変わらずよく判りません。


外に出てみると、以前よりも緩くなっており、敷地に接する道路まで出ても全く注意を受けることがありません。


市政府の方針に反して厳しくし過ぎたことが批判されることもあったので、もしかするとこのエリアも市政府のルール通りにする方針に変更されたのかもしれません。


この日、当初は予定されていなかったのですが、突然にPCR検査通知がありました。


いつもはホテルの敷地の端に設置された検査所で検査していたのですが、今日はホテル敷地外にある検査場まで行くように、との指示。しかも特段の見張り等もなく、「ホテルを出て右折、直進したら5分くらいで検査場が見えてきます」と自分で勝手にホテルの外へ出て検査場へ行け、と非常に緩い対応です!


ドキドキワクワクしながら検査場に到着すると、長い行列の先にあったのは、この頃噂になっていた即席プレハブ検査ボックス。


小さなチケット売り場のようなプレハブの建物の中に防護服を着た検査担当が入っており、ボックスの実験室のようなゴム手袋から手を出し、検査をしていました。


刺激の無い日々を過ごしていると、こんなことでも興奮してしまいます。


因みにこの検査ボックス、その後、中国中に設置され、ここで検査を受けて健康アプリで緑色の陰性証明書を取らないと何もできない生活が待っていることになるのですが、この時点では人々はそんなことを知る由もありません。


ネット上では「税金の無駄遣いだ」といった批判がアップされては削除されていました。


PCR検査目的とは言え、ホテル敷地の外には出られるようになり、何となく解除に向けて規制が緩くなってきたかなと、久しぶりに借りていた浦東地区のアパートに連絡を取ってみました。


が、、、


「静黙期なので帰って来るな」


同じ上海市内でもコロナ対応は引き続き小区単位でバラバラでした。

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