第55話 出口への光

2022年5月13日、金曜日。


アパート住まいの人の中にはロックダウン中に食糧不足の危機に陥ったケースも少なからずあったようですが、私は家に帰れずホテルに閉じ込められていたが故に、毎日の3食に困ることはありませんでした。


そうはいっても連日同じ入国隔離の延長のような中華風お弁当には飽きていたのですが、最近、徐々にではありますがホテルのお弁当が改善しつつあります。


お弁当に入る食材が増えてきたということは、物流が復旧し始めているのかもしれません。


然しこの日、お弁当にソーセージが入っている!と喜んでかぶりついたところ、口の中でガッと音が。。。


ソーセージの中から小骨が出てきました・・・


ホテルのスタッフに「小骨が入っていたよ、気を付けてね!」と(自分では)優しく伝えところ、なんと部屋に「お詫びです」としてフルーツ盛り合わせが運ばれて来てしまいました。そんなつもりで言ったのでは無かったのですが、有難く頂戴しました。


お詫びに食べ物が出せるとは、やはり物流は回復しつつあるのだな、と改めて実感しました。


いつものようにホテル前のロータリーをお散歩中、恐らくロックダウン後、初めてだと思うのですが、ネコを見ました。


ロックダウン中は餌をくれる人も無く、道端に残飯もない中、猫はいったい何を食べて生きているのだろうか、と暫く観察していたところ、突然、ひらひらと舞う蝶々に向かってジャンプ!前足をパチン!(ホントに音がしました・・・)


猫が蝶々を食べようとするとは、よほど食べ物に困っているのでしょう。


感染者が出て隔離用の壁で囲まれてしまったお隣の小区しょうく、朝の時点では「封控区(封鎖区)」の表示だったのが、夕方には「管控区(管理区)」になっていました。


ロックダウンが始まって約1か月半、少しずつですが出口の光が見えてきたような気がします。

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