第54話 泊まり込みな人々

2022年5月12日、木曜日。


一時帰国から戻ってきた入国日から70日目。

ロックダウン開始から42日目。封鎖生活も6週間が経過しました。


本日は久しぶりにPCR検査が行われました。


検査終了後、いつものようにホテル前のロータリーをぐるぐると回っていたところ、寝袋を抱えた警備員っぽい人が通り過ぎていきました。


きっと何処かのビルの中で泊まり込み警備をしていたのが、漸く帰宅出来るうようになったのでしょう。


当時、上海市政府からは、生活インフラを支える業種は何としてもインフラを維持するように、との指示がでており、ロックダウンで部屋から出られないことから、そうした業界の方々は日々会社に泊まり込みをしていました。


続いて大型トラックがホテルの前に停車しました。よく見ると「山東省から上海への野菜支援直通車」と書いてあります。


この頃、ロックダウン中の上海市内随所で食糧不足が問題となっていたことから、地方から上海へ食料支援が行われていました。


然し実際には上海市内から封鎖された各部屋への配送システムが機能せず、随所で腐って捨てられているとの写真がSNS上にアップされたりするなど、必ずしも効率的ではなかったようです。


各地方から派遣されてきた医療支援隊の方々もそうですが、各個人レベルでは皆さん必死に頑張っておられます。


然し、結局のところ、ロックダウンがここまで長期化する中で、物流、特に食糧の流通をどうするのか、という人間が生きていく上で一番重要なことをどう確保していくのか、深く考えないで行われていたことが伺われます。


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