第51話 ディストピア以下
2022年5月8日、日曜日。
この日も日課としていたホテル前ロータリーぐるぐる散歩をしていたところ、ホテル外の柱に「防範区(解除区)」のプレートが貼られているのを発見!
市政府のルールによれば、封鎖が解除され、ホテルの敷地から外に出てよいことになります。
然しその一方で、ホテルの隣の小区には新たに「封控区(封鎖区)」のプレートが貼られ、今頃になって封鎖用の壁が作られていました。
この頃になると感染者数も緩やかに減少し始めていたのですが、今頃になって手間とコストを掛けて封鎖用の壁を作るとは、まだまだロックダウンをやる気満々な感じがします。
ホテルの隣が新たな封鎖区になった為か、この日はいつもよりも監視が厳しく、ホテルの敷地からちょっと道路に出た宿泊客は、警察から「敷地から出るな」と細かく注意を受けていました。
この頃、市政府からは、自分の居住エリアが封鎖解除されても静かに暮らしなさい、という意味らしい「静黙期」なる新たな概念が導入されました。
何でもスローガン的な標語にしてしまうところに、中国共産党っぽさを感じます。
感染者が減ってきたのでロックダウンを緩和するのではなく、全く逆にロックダウン解除に向けたラストスパートとして寧ろ管理を厳しくするようになったのもまた、中国共産党っぽさを感じます。
この頃、ネットでは「今の中国はディストピアだ」という不平・不満が出回っていました。
浅学にして私は「ディストピア」がどういうものなのか正確に理解していなかったので、改めてネットで調べてみました。
<ディストピア(dystopia)>
理想郷であるユートピア(anti-utopia)と逆の世界。反理想郷。
平等で秩序正しく貧困や紛争もない理想的な社会に見えるが、実態は徹底的な管理・統制が敷かれ、自由も外見のみであったり、人としての尊厳や人間性がどこかで否定されている。
なるほど、これは確かにロックダウン前のゼロコロナ政策下の中国です。
然し今の上海は外見上の自由すら無く、劣悪な隔離施設への強制連行なども横行しており、ディストピア以下です。
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