第42話 聖母マリア

2022年4月23日、土曜日、雨。


ロックダウン開始から3週間以上が経過。引き続き新規感染者数は高止まりしています。


「ロックダウン以降、感染者は出ていなかったのに、今頃になってうちの小区しょうくyang(中国語でコロナ陽性者の隠語)が出た!」といった話が、今日も市内の知人友人から聞こえ続けています。


先日も書きましたが、最も疑われているのはデリバリー配達員経由の感染です。


当時出回っていたアパートの管理人と思われる人が投稿した動画には、


「小区にてデリバリー配達員71件の抗原検査をしたら9件が陽性だった」


としてずら~っと並んだ陽性者の抗原検査キットが映し出されていました。


出所不明な動画ではありますが、ずっとロックダウンしているのに新規感染者数が高止まりしている原因としては非常に説得力があります。


新規感染者数が全く減らないことから、上海市政府は従来の方針を変更し、封鎖地区は毎日PCR検査、コントロール地区はPCR検査2日+抗原検査3日、封鎖解除地区はPCR1日+抗原検査4日、とすることを発表しました。


私のいるホテルは最も厳しい封鎖区となっていたことから、この日もPCR検査の筈だったのですが、朝、突然に「本日のPCR検査は実施しないこととなりました」との連絡が入りました。


検査する人が雨で面倒だから止めたのか?

検査キットが尽きたのか?


ここは中国。理由は開示されません。


結局、翌日朝に抗原検査をするとの通知がありました。


ずっと陽性者が出ていないのに、毎日検査漬けなことを皮肉ったジョークがWeChat(中国版LINE)経由で回ってきました。


「我々のアパートは何日もyang(陽性者)無しを堅持しているのに、毎日PCR検査をする意味はあるのか?それは全く男性に接していない女性に妊娠検査をするようなものではないか?」


このジョークを中国人の知人に転送したところ、戻ってきたコメント。


「聖母マリアを探しているのでしょう」


ナイスな突っ込みです!


ロックダウン下でも心の余裕を無くしてはならないな、と、この返信を見て改めて思いました。

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