第39話 突然の悲報

2022年4月19日火曜日の夕方、ホテル宿泊客のグループチャットに「この小区しょうく(居住エリアの最小単位)に陽性者が出ている!」との書き込みがありました。


封鎖解除ルールに基づけば自分の居住地がいつ封鎖解除されるのかを検索出来るサイトがネットに立ち上がっており、試しに宿泊しているホテルの住所を入れてみると、確かに4月18日に陽性者が出ており、14日後の5月2日迄封鎖と表示されていました。


ホテルからは「ずっと陽性者は出ていない」との説明だったので、宿泊客の多くからホテル側に説明を求めるも回答無し。そういえば今日から空調が再びオフになっているが、さては陽性者が出たからだな?隠していたな?とグルチャ上で詰め寄る客も出始めて不穏な空気に。


夜になって漸くホテル支配人名義で宿泊客に以下説明がありました。


「2名のPCR検査結果が異常となり4月18日に医学観察施設に移送された。ともに再検査では陰性だった。ホテルは宿泊客の健康と安全を第一としているのでお客様の協力をお願いする。地元の健康管理センターからはPCR検査実施要請がある。今後の対応は通知があり次第連絡する」


これだけでは何が起こったのかさっぱり判らないので、親しくなったホテルのスタッフに直接聞いたところ、真相は以下とのことでした。


・ホテル入居ビルの低層階にあるビル管理会社で陽性者が出たもの

・高層階のホテルと低層階のオフィスは入口もエレベーターも別で動線が異なり接触もないが、住所が同じということでビルごと陽性者が出た小区とされてしまった

・該当者は再検査では陰性であったことからホテル支配人から地元政府には撤回を折衝中


残念乍ら、その後も撤回はされず18日に陽性者が出たままとなっており、更に2週間は確実に部屋に閉じ込められ続けることが確定した瞬間でした。


但し、既に解除区となっている小区でも外出はマンション敷地内のみとされ、実際に外まで出歩けている小区は殆ど無いようです。


外出してウィルスを貰ってきてしまうことを警戒して、小区の管理者が政府規制以上に厳しい運営をしているものと思われます。


これでは封鎖が解除されたところで、毎日のPCR検査を目的にホテル敷地内までは10分ほどではありますが外の空気が吸える現状と大差は無いかもしれません。


翌日の2022年4月20日水曜日、5日連続のPCR検査が実施されました。


PCR検査=短時間ですが外へ出られるので有難いのですが、ロックダウンが1か月近くに及ぶにも拘らず感染者が減らない理由はPCR検査会場での感染が疑われており、市内随所で検査反対運動が勃発し始めていました。

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