第35話 増え続ける感染者

ロックダウン中、感染者が少ない地域では抗原検査が基本なのですが、時折PCR検査も行われていました。


抗原検査だと自分で検査して結果を写メしホテルのグループチャットにアップするのみなので部屋から出られないのですが、PCRの場合は外に設置された臨時検査所で検査することになる為、外出することが出来ます。


ロックダウン当初はPCR検査の呼び出しを受ける度に「陰性になったらどうしよう」と憂鬱でしたが、部屋に閉じ込められる日々が続くにつれ、外に出られるPCR検査の呼び出しを寧ろ心待ちにするようになりつつありました。


冷静に考えると、そろそろ少し狂ってきていたのかもしれません。


それにしてもロックダウン開始から2週間以上経っているにも関わらず、感染者数は減る気配がありません。


市民ほぼ全員が家から一歩も出られないにも関わらず、何故に膨大な数の感染者が出続けているのか。


感染者数が減らない要因の一つは密なPCR検査会場にあるのではないか、との噂もあります。実際、私が受けたPCR検査会場はかなり密な状態でした。


コロナを炙り出す検査の為にコロナが蔓延しているのであれば、こんなに皮肉なことはありません。

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