第26話 中国の夢

新しいホテルに移ってきた日、上海市の新規感染者数は約1万7千人と、またもや記録を更新しました。


この日発表された市政府の方針では、直近で陽性者が出た場所はPRC検査を、出ていない場所は抗原検査を実施するとのことで、私も早朝からホテルのフロントに呼び出されて抗原検査を行いました。


陽性者がゼロになるまで、これが繰り返されるのかもしれません。


ロックダウン当初まで、表面的にかもしれませんが、多くの上海人は「これを我慢すればすぐに元の生活に戻れる」と政府の政策を支持とまでは言わないまでも容認していたように思います。


然し中国人の友人とメールやチャット、電話で話していると、オブラートに包んでではありますが、この頃から少しずつ不満の声も出始めていました。


この国が掲げる大目標は「中国の夢」。


ロックダウンを繰り返し、多大なる経済的人的損失を被ってでも国家全体としてコロナをゼロにすること、それが本当に「中国の夢」なのだろうか。


そもそも「中国の夢」とは、「中国人の夢」なのだろうか。

それとも「中国国家の夢」なのか。

はたまた「中国国家指導者の夢」なのか。


そんなことをつらつらと考えつつ、日は暮れていきました。

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