第25話 突然の通知

2022年4月5日、火曜日。


市政府の当初発表では本日朝5時に解除される予定だった浦西ぷーしー地区のロックダウンは、然し昨日、既に延長することが発表されていました。


この日はPCR検査も抗原検査も無く、部屋に閉じ込められているだけの退屈な一日、の筈だったのですが、それは突然やってきました。


正午になった頃、部屋の電話が鳴りました。


「このホテルは、地方から上海市に来た医療援助隊の専用宿泊所とすることが、市政府により決定されました。ついては宿泊者全員、本日中に退去して貰うので予め準備をしておいてください。次のホテルはのちほどご案内します。」


!!!!!!!!!!


コロナ禍以降、宿泊していたホテルが隔離ホテルとなる、との政府通知により突然部屋から追い出された、という話は時々聞いていたのですが、まさか自分の宿泊するホテルも政府に接収されるとは想像すらしていませんでした。


昨晩の段階では、「ハイリスクの仕事をする医療チームと宿泊者の動線を分けるので、宿泊者は貨物用のエレベータを使って下さい」と電話で説明がありましたし、今朝も「封鎖が延長になりましたが食事は今までと同じで良いですか?」と聞かれたばかりだったので、恐らくホテルとしても突然に市政府から言われたものと推測されます。


已む無く荷物をスーツケースに詰め、ホテル変更の通知を待っていると、夕方頃になって「これから退去して貰います」との連絡がありました。


ロビーは大混乱していましたが、何とかホテルスタッフを捕まえてホテル移動の手配を済ませ、市政府が仕立てた大型バスに乗り込んで、警察車輛の先導で移動開始。


ロックダウン中なので一般車両は通行を禁じられていることから、要人になったかのような警戒の中での引越しとなりました。


次のホテルは、今までいたホテルのすぐ近くにある同じ系列のホテル。

厳重警戒の中でチェックインを済ませ、無事に新しい部屋に入ることが出来ました。


この日発表された昨日の新規感染者は13,356名、うち無症状感染者13,088名。

もちろん、過去最高記録更新です。

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