第2話 武者、女神に会う!

 気がつけば白い天井を見ていた。


「むう! そうか、俺はあの車に敗けてしまったのだな…… また更なる修行をせねば!!」


 俺がそう独り言をつぶやいた時に横から声が聞こえてきた。


『はいはーい! 残念なお知らせだよ、福津武棟くん。君の肉体は既に火葬されちゃったから修行はもう出来ないんだよー』 

 

 声の方を見ると武の女神と言われるワルキューレのような姿の美しい女性がいた。そして俺はその女性の言葉の意味を理解する。


「すると、俺は敗北死したという事だな…… そうか、遂に武の棟梁には成れなかったか……」


『そうだねぇ、地球では成れなかったねぇ。そんなブトーくんに朗報だよ! 私の話をよーく聞いてね。私は武を司る女神、【ワレキュール】だよ! そんな私が任された世界にブトーくんを転生させて上げる! その世界で武の棟梁を目指してみて! 転生特典は言語理解と体術、武術スキルが鍛えれば鍛えるだけ上がる体質を! それと、この私から加護を一つつけてあげるよ! 何か希望はある?』


 やはり、【ワルキューレ】だったか! 格好からしてそうだと思っていた。それならば俺は武者修行中に辛かった事を思い出す。そう、真冬の山で風邪になってしまった時の事を。それでも己に課した修行を止める事はなかったが、あのときは辛かった……


「そうだな…… (病などで)壊れない体が欲しいな……」


 俺の言葉にワルキューレワレキュールは考え込んだ。


『それはまた凄い加護を願うねぇ…… 壊れない体(不壊の体)って…… でも、ま、いっか! よーし! それじゃ私からの加護は壊れない体不壊体にするよ! それと記憶は十歳まで封印させてもらうよ。赤ちゃんプレイの趣味があるなら赤ちゃんの時から記憶を持たせて上げるけど?』


「そんな趣味はないな……」


『そっか! 残念…… あ、でも転生したらちゃんと結婚してよね。今世では女性とも向き合うんだよ! いい?』


「むっ! しかし宮本武蔵老師は……」


『はい、私の世界には宮本武蔵老師は居ません! 分かった?』


 むう! 武の女神様が言うのならば従う必要があるか…… 武の棟梁になる為に必要なのだろう……


「分かった、記憶が戻ったら努力する事を約束する」


『うん、それじゃ、頑張って武の棟梁を目指してね、私の世界、マルドラームへ転生!!』


 そうして俺の意識は遠のいた……

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