第27話 反応に困るとき、どうする?
左右を明らかに大物感漂う女性に挟まれ、教室中からはぴりぴりと刺すような視線を感じるのだ。
国行に関しては、羨ましそうにこちらを見つめてくるし、金平は単純に観察対象として観ている節がある。
前の席の光世は黒板の反対端に書かれている内容を板書する振りして、横目にこちらをみてくる。
中性的な光世がそれをやると、流し目を使われているようでちょっとだけどきどきする。
俺がそっちの道に目覚めたら本当に責任をとってください。
しかし昨日の召喚の儀以来、色々とありすぎて普段親しくしている友人達にも事情を話せずにいるのもまた事実。
昼休みには、食堂にでもいって皆に説明するとしよう。
授業の間の中休みは眠ろう。
トイレの個室で仮眠だ。
絶対に起きない。
絶対に出ない。
だが今は授業中だ。
学生諸君、真面目に黒板をみて勉学に励め。
まぁかくいう俺も、授業には全く集中出来ていない。
――特に一点。
視線の中で一点だけ格というか、威力というか殺傷力が違う視線があるんです。
もうね、本当に眼からレーザービームでも放射して、俺を焼き殺すんじゃねぇのか?
それぐらい鋭いんです。
うん、そう。
長光さんの方向からですね。
こわいなぁ、こわいなあ。
長光さんは雨雫のサポートをする仕事であって、俺の監視が仕事ではないはずなんだけどなあ。
こんな視線を向けられていたらとてもじゃないけど集中できない。
――とんとん。
現実逃避して嗜好を纏めていたら、机の左端を叩く音が聞こえた。
視線を向けると薄緑の机にメモが書かれている。
……えっと、内容は。
『綺麗な人だね。水も
……。
…………。
はあ。
どう反応が返ってくるのか楽しみにしているのだろう。
無表情ながらも眼を光らせながら、身をそわそわさせて何度も座り直している。
正直、反応に困る。
こういうときはあれだ。
対して面白くない駄洒落や反応に困る事を患者さんに言われたときの接遇経験が役に立つ。
俺はさりげなく机の左端に返事を書いた。
『あーなるほど』
はい、逃げましたよ。
返事を視線だけでばっと見た
凄く必死に机にかっかっかっかと文字を書き出した。
長い。
途中ではあるが、ちらりと見ると――。
『今のはだじゃれ。
俺は見なかったことにして、以降左側からの情報を遮断した。
授業終われ早く。
どうせハーレム的展開なら、もっと気楽なハーレムが良かった。
そう思いながら俺は穴が空け!! というほど教師の挙動にのみ集中し授業を過ごした。
左側で『とんとんとんとん○ののにとん』的なリズミカルな音が激しく響いている気がするが、気のせいだ。
俺は集中力の鬼になるのだ――。
―――――――――――
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