第25話 綺麗に取り繕ってもねぇ?
「しかし私はこうも思います。
そう言葉を紡ぎ俺は頭をすっと下げた。
俺の言葉は学園長に届いただろうか。
表情を変えない学園長からはどんな返答がくるか予想がつかない。
隣に座る
本音と
「
学園長に促された
「
――いや。何を綺麗に言ってるの?
お前の
ひどいもんだったぞ、あの一連の流れは。
学園長も一連の流れを監視カメラで観ていただろうに、突っ込まず
「この男の呪力や事象への
俺も学園長も少し身を固く、表情を険しくさせた。
「……しかし、だ」
間を取った雨雫はくるりとこちらを向くと、片手を上げさらに言葉を続けた。
「――この男の魂は実に面白い。そしてこの男の気質は勤勉であり、此方が手助けをしてやることにしよう」
ふっとどや顔で笑った
いや別に感動はしないし、どんな反応を期待しているというのか……。
というか魂って。
もしかして――俺がこの世界で生きてきた人間じゃないって、ばれてる?
「……なるほど、わかりました。しかし常識的に考えて、
「え」
学園長の返答にどや顔をしていた雨雫が固まった。
やがて顔が腫れ上がるように
うわぁ……、これは恥ずかしい。
恥ずかしいねぇ~。
「しかしながら、現在の貴女のお姿で女生徒として学園に通われるのであれば、話は別です。貴女は人に危害を加えるようなことはしませんか?」
「む、無論である!」
「浅井君はどうでしょうか。もし
「――え……。ちょっと考えさせていただいてもよろしいですか?」
「何故だ!? 大丈夫である!
ぎゃあぎゃあと雨雫が文句を言う。
威厳など霧散し消え去った。
そう言う問題ではないのです。
大人は責任の所在に関しては殊更慎重になり、保身に走るものなのです。
――しかし……なぁ。
論理的では無く直感でしかないのだが、雨雫は人に害を成す式神ではないと強く感じる。
俺は自らの直感にベットすることにした。
もし、何かあったら……。
その時はこの世界に生きてきた俺の魂に全力で土下座するとしよう。
「わかりました。是非、その条件で御願いいたします」
「いいでしょう。では、クラスは君のクラスに編入させます。すぐに北谷先生を呼びます。後は彼の指示に従って下さい」
学園長は固定電話を手に取ると、電話で北谷教諭を呼び出した。
飛ぶようにやってきた北谷教諭に条件を説明すると、北谷教諭はなんの抵抗もなく「かしこまりました」と言って受け入れた。
ある程度既定路線通りだったんだろうなぁ、そう思うほどに円滑なやりとりであった――。
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