詩  「ある朝」

@aono-haiji

第1話  詩  「ある朝」


ある朝

いつも窓から見える街が

絵葉書のように無口になり

全ての色が灰色に縁どられてゆく

つりっつ つりっつ と

ヒビが入りはじめた


どうやってここから抜け出そう

わたしの中には 

18本の足を持つ心がある

あの 嘘っぽく光る空が

本当はまぶしくもないし

暖かくもないことを知っている


言葉と記号だけが

人を洗脳できると信じて

空に見せかけた 透明な蓋で

人々に 覆いかぶさってくる

でも わたしには聞こえるんだ

嘘が 嘘であることを悔やむ叫びが


ざ ん し ぃ………………

大きな

大きな 刃物が 落ちてきて

この国を ふたつに 裂く


いちばん最初に気づいた人は

もう 芥子粒のように はるか

吹かれ飛んでしまった


確かにね

みんな同じ向きを見ている

みんな同じ向きに歩いてる

でもね

でもね

おまえたちには

つかめない心もある

あるんだよ


わたしが

手を伸ばす先には

幼ない心しかない

でも

絶対に

ゆずらない心だ


たとえ

わたしという有機体が

すり潰されても

わたしは

わたしの心を

この世界に残した

残してやった


けして消去されない思い

真実を愛し

愛が真実であることを

けして手放さない思い



わたしは

ゆるさない

愛を踏みにじる虚構を

絶対にゆるさない


負けるな


全ての人に

愛を

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