第19話 江戸へ
温泉で、二泊三日のリフレッシュ
「父上、ただ今戻りました」
「ああ、おかえり。温泉は良かったかい?」
「はい。
ただひたすら、食べて寝て湯に
「そうか、楽しかったようだね。では、明日から江戸に出発してもらおうかな」
「明日からですか?」
「準備は出来てるよ、後は・・・
控えの間に誰かがいたようだ。
「失礼いたします」
いかにも『金持ち
「
「初めてお目にかかります万姫様、鈴木市十郎と申します」
小箱を手前に置き、深々と頭を下げた。
「あ、はい。こちらこそよろしくお願いします」つられて同じように頭を下げた。
「くっ?」
「万姫様、
「ほっほっ、紅の教育は厳しいのぉ」
無表情で市十郎は小箱を前に突き出し
「
「ほいほい、出来上がったのか?どれどれ」
小箱を手に取り、
「ふむ、これは良い出来だ。いいだろう」
そう言うと、小箱の蓋を開けたまま私に持たせた。
「これは?」
「見たことあるだろう?」光圀公は、いたずらっぽく微笑む。
(見たことある?)
謎の言葉に
「!!!これ!・・うわぁ、本物だぁ」
【ひかえおろう、この
水戸の
感動感動!江戸時代で本物見られるなんて感動しかない。
目をキラキラさせて、そっと箱から出す。
「それは薬入れに使うといい」
「薬?」
「私はね、旅先で
「そうなんだ、知らなかった。ずっと警察手帳みたいなものだと思ってたから」
水戸藩主は
「では皆の者、頼んだよ」
「「
「覚兵衛さん江戸に行く前に、友達の家に寄りたいんだけどいいかな?」
「かまいませんよ。
(今も
数週間ぶり?店の
「こんにちはー。おじさん、おさきちゃんいる?」
「おやおや、ずいぶん久しぶりだね。さきなら、裏で野菜を洗ってるよ」
「ありがと、裏に回るね。あ、それからお客連れてきたよ」
店の前で待っている覚兵衛たちに、店に入るように
「皆で腹ごしらえしよう、私は店の裏に寄ってから中に入るね」
「万姫様、紅もお
「大丈夫よー、中で待ってて」
「ちょー腹減った、姫様が言ってんだ早く入ろうぜ」
伯は
店の裏に回ると、井戸水で野菜を洗うおさきが手を止めて店内を気にしている。
「おさきちゃん」
おさきが肩をビクッとさせて振り向いた。
「まりちゃん!やっぱりまりちゃんだったのね!声がしたから」
おさきは立ち上がり、
「なかなか来れなくてゴメンね、家の用事で
「ううん、気にしないで。毎日のように来てくれてたんだもの、また会えて
両手を
「今日は、お客も連れてきたからね」
「ほんと?ありがとう」
そのまま
「おじさん、私はいつもの
「はいよ、大盛りかい?」
「今日は並で・・・」いつもは大盛りだが、さすがに家臣の前では気が引ける。
「まりちゃん、わたしはお茶を運ぶから座って待っててね」
「はーーーーい」
お茶を運んできたおさきが、家臣たちを見て固まる。
(そうだよねー、店内満席のお客たちは私の家臣と連れの
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