第16話 抜刀術
万姫は、
中学生の時に、剣道部だったから少しは
しかし実戦向きではない。
伯の剣術は
和田平助正勝は新田宮流抜刀術の
その当時は、光圀公警護の
ある日、花房のゴリ押しで
御前試合の
ザザザザ カン バシッ
「痛っ・・くっ・・はっ!」
キン
涼しげな顔の伯に、いとも簡単に
ビリビリと手がしびれた。
「はあ・・はあ・・くっそー・・・またはじかれた」
「ふっ、もう息が上がってるのか?まだ始めたばかりだぞ」
「むかっ!まだまだこれからぁ」木刀を拾い打ち込む
バシッ
簡単にあしらわれる。
二時間くらい続けただろうか、さすがの
「もう無理・・・
板の間を
「情けねぇな。いっこうに上達しないし、そんなことでは
「そんなこと言っても無理なものは無理!刺客は伯がやっつけてよ。あ~~こんなところに青なじみ《あおあざ》ができてるぅ」
今日は二ノ丸の道場で、朝から
伯の稽古はスパルタ教育で、水分補給すらさせてくれないんだもん。
道場内には数人の男たちが、木刀で派手な音を打ち鳴らしながら、時折こちらをチラ見している。江戸時代の
真ん中のリーダー格が、ニヤニヤこちらに目線を向けながら
「おや~
「げはははは」
真ん中の奴が、伯に話しかけてきた。ほかの二人は下品な笑い声で、金魚の
(ここは、とある小説の魔法学校ぢゃないぞ!)
伯は三人を無視している。
無視されたのが気に食わないのか、伯の
「何か言ったらどうだ?み~んな、お前のお姫様の悪口言ってるぜ?『女に剣術なんか必要ない』って」
(なにこいつ!ムカつくっ!)
「
私のことをチラリと見てから、伯が
「
花房という男は、すくっと姿勢を戻すと伯に目線を合わせる。バチバチとした、何か
今にも刀を抜いて、斬りあうのではないか?そんな
「何をしている?稽古の途中ではないのか?」
「道場外の者は出ていきなさい」
「チッ。今日は
そう言うと腰巾着の二人と、そそくさと道場を出ていった。
「あいつらに何か言われたのか?」
伯の方を見て覚兵衛が聞いた。
「いえ、たいしたことでは」
「そうか、姫さまの噂が奴まで届いたか。では今日はここまで。万姫さまを
「大殿様が私に、ご用?」
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