第4話 神隠し

ピpipipipipipip

カチッ

パッパラッパ パッパラッパ パッパラッパ パッパパー


「んがーーーー」

スマホから起床ラッパ♪で起こされた。

今日は未希たちと日立かみね公園で遊ぶ予定。


水戸に遊園地は無い、常磐線で30分揺られる日立市に行くしかないのだ。

雨戸から光が差し込む


 台風は通り過ぎたようだ。

カーテンを開けようとベッドから起き上がったとき、ドアの前でバタバタと足音が聞こえた。


「まり起きて!」バンッ

勢い良くドアが開き、母が飛び込んできた。

そのまま窓に近づくと、力任せにガラス窓と雨戸を開け放した。


「なにー?どうしたの?」

「いいから、外を見て!」

「??」言われるまま窓に近づき外を見る。

「!!なにこれ」


「ね?何もないの!」パジャマ姿でスリッパの片方だけをはいた母は外を指さした。

 母が新聞を取りに門扉のポストに行こうとして、玄関引き戸をあけたらこのありさまだったのだ。


「まさかブロック塀が台風で飛んだの?」

「そんなわけないじゃない!ブロック塀が飛ぶなら、この家だって飛ぶわよ」

「そうか。でも、どういうこと?」

「ママにもわからないわよう」


「ん~・・・」

頭を抱えてみたが、理解が追いつかない。

「とにかく、ママは着替えて。それから、警察?消防?どこにかければいいの?」


スマホを取り、ロック解除。緊急連絡先をタップする・・ が

反応がない。何度やっても無音状態でアプリも起動しない。


「そうだ!家の電話」

廊下にある今はほとんど使わなくなった固定電話をかけてみる。

無音

「なんでーーー?」叫んでしまった


 停電?ソーラー発電だからするわけないし・・・テレビ!

リビングに飛び込みテレビの電源を入れる。

(映りませーーん お・ち・つ・け・私。電気のことなら兄貴!元・工業高校電気科!)

兄ひかるの部屋へ


「あにきーーーーー」

ドゴン

取っ手に手をかける前にドアが開き、部屋の中に転がり倒れた。

ギリ受け身をとり、頭を強打せずに済んだが頭上に何か機械の突起物が見えた。

(〇×▽□☆!!!)


「ドアを破壊するつもりか!」

「だって電気が工業高校でブロック塀もけいさつ・・・」

停電とスマホと突起物が見えた混乱で、自分でも何を言ってるのか分からなくなった。


「意味わからん」

「いてて・・外見てよ。そのほうが早い」

「外?」


 ひかるは自室の窓を開けた。

私は起き上がり、朝日の入り込む兄の部屋を見渡す

「うっ・・久々に兄貴の部屋見たけど・・・何これ、へんな物が増えてる・・」

「いま部屋はどうだっていいだろ」


「そうだ!スマホが使えないんだけど!電話もつながらないよ、テレビも映らないし。マジでどうなってんの?」

「あたりまえだろ・・・とりあえず外に出てみるか」

「あたりまえ??」


私はパジャマを着ないからハーフパンツにTシャツ、兄貴はTシャツにジーンズ姿で外に出た。なぜかペンチを持っている。


「なーんにもないね、兄貴はどうおもう?」玄関前で仁王立ちしてみた。

「ふーん。なるほどね、少し周りを見てくるか」

そう言うとひかるはクルっとペンチを指で回し、家の裏の方へ歩いて行った。

 

 妙に落ち着いてる兄貴が気になったけど、ぐうーーっと腹の虫たちが騒ぎ出したので私は家の中に戻ることにしよう。

「お腹すいたー」


 キッチンへ向かうと、いつの間にか母が朝食の準備をしていた。

「何か解った?」

「ん~ん、なーんにも。いま、兄貴が探索してるよ」

「腹が減っては戦は出来ぬ、とりあえず朝御飯食べてから、私たちもひかるに合流しようか」

「さんせーーい」

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