第3話

 薄暗くてよく見えないのだが、紙の匂いがするので、書庫に来たのだな、と思っていると、灯がぼうっと、自然にともり始めた。これで、探しやすくなった。

 どこに、なにが置いてあるのか、よくわからないが、棚をよく見ると、分類わけの表示がしてある。

 まずは、桃太郎は、本当に食べられてしまったのか?

 一昼夜飛び続けながら、ふとひらめいたのだが、もし、本当におばあさんが、桃太郎を食べてしまったなら、それでは、おばあさんが、人喰いばばあということになる。

『桃太郎』にそんなおばあさんは、出てこないはず。

『桃太郎』の資料を探す。

 なんだか、一段と明るい場所がある。その棚にあるのかしら?

 あった。『桃太郎』のあらすじや登場人物。分冊で、一人一人の性格や経歴を記したものまで。

 桃太郎の経歴を見てみる。

 え?<現在、あしがらやまに滞在中>との記述。

 どうして?

 <あしがらやま>ってどこかしら?

 すると、すこし離れた場所の棚が、光っている。

『金太郎』とかいてあった。

 き、金太郎と一緒なの?なにがあったの?

 こんなところで、考えていても、仕方がない。

 金太郎を迎えに行こう。

 さるといぬもみつけないと・・・


 それにしても、疲労感が甚だしい。

 実際、よろよろしている自覚が、十二分にある。

 もうむりだわ、と思ったら、思考がふっと途切れた。


 気が付いたら、おじいさんとおばあさんの顔が、目の前にあった。

 今度は、大丈夫。慌てたりしない。

 事情を説明すると、とりあえずうちで一休みしなさい、と言われ、お言葉に甘えさせていただいた。

「あんときの、キジじゃないかい?」

「今度も絞めようだなんて言い出すんじゃありませんよ」

「わかってるよ」

 ぼんやりした頭で、そんな会話を耳にする。

 やっぱり、逃げて正解だった。

 でも、今度は助けてもらえそう。

 そのまま、一晩ぐっすりと寝た。


 目を開けたら、光が見えた。とおもったら、自分の目の前に、竹の柵がある。

 どうやら、ふせにとらわれているようだ。

「おまえを大事に扱ったら、いいことが、起こるに違いないからね。大事に保護して、うちで、預からせてもらうよ」

 二人にたくらみがあって、わたくしを預かっているなんて、女神様なら、お見通しのはずよ!でも、ここは、しばらくおとなしくしていたほうがよさそうね。逆らえないふりをしていましょう。

 時間はあるわ。桃太郎たちを効率よく探し出せる手立てを考えないと・・・


                   つづく・・・かどうかはわからない

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飼うか?食うか? あしはらあだこ @ashiharaadako

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