第4話 ギブアンドテイク
一緒に夕飯を済ませたあとは、二人で近くの銭湯へ行き、のんびりとした下駄の歯音を響かせながら帰ってきた。
奈美恵からは、このまま自宅へ帰るといった空気がしない。
となれば、お定まりの
執筆から解放された疲労感が残っていても、奈美恵と男女の契りを結ばなければ、この女はいつまでも笠井の家にいるだろう。
女たちは笠井の身の回りの世話をすることで、笠井との男女の関係を結ぼうとする。いわばギブアンドテイクに近かった。
その夜、笠井にとってはするべきことだけしたあとは
今現在は、こうした女が奈美恵を入れて三人ほどいる。
けれども誰も孕まない。
自分には子を作るだけの男としての能力が欠けてしまっているのだろう。
満足げに頬をゆるませ、隣で眠る奈美恵をしみじみ眺めながら、自分は奈美恵を使おうとしているのではなくて、彼女たちに使われている気がした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます