第4話 ギブアンドテイク

 一緒に夕飯を済ませたあとは、二人で近くの銭湯へ行き、のんびりとした下駄の歯音を響かせながら帰ってきた。

 奈美恵からは、このまま自宅へ帰るといった空気がしない。

 となれば、お定まりのねやが二人を待っている。


 執筆から解放された疲労感が残っていても、奈美恵と男女の契りを結ばなければ、この女はいつまでも笠井の家にいるだろう。

 女たちは笠井の身の回りの世話をすることで、笠井との男女の関係を結ぼうとする。いわばギブアンドテイクに近かった。


 その夜、笠井にとってはするべきことだけしたあとは惰眠だみんをむさぼる。


 今現在は、こうした女が奈美恵を入れて三人ほどいる。

 けれども誰も孕まない。

 自分には子を作るだけの男としての能力が欠けてしまっているのだろう。

 満足げに頬をゆるませ、隣で眠る奈美恵をしみじみ眺めながら、自分は奈美恵を使おうとしているのではなくて、彼女たちに使われている気がした。

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