第9話

 プロフェッショナルなのは確かだが、マリーはなにを考えているのか見えにくい女性であった。まずその笑顔の表情からはなにも読み取れない。だからこそ、男はこの女を支配し、独占したくなるのだ。仮に、この女を独占できた男がいたとしよう。だがそれは同時にマリーに支配されていると同じことなのだ。さて、それはこの峠山にも当て嵌まるのだろうか。

「所詮、裏の金は裏の金。非合法は非合法だ。そもそもこのプレイアローだってな、私だけの力で立てれた。だがそうなると裏の勢力の面目が立たない。くだらないけどな、そうすることが上手くのし上がるコツなんだよ。わかるかマリー」

 自慢げに話す峠山にマリーは後ろ髪を掻き分けながら言う。

「私には少し難しいですね、心地の良い子守唄のようです」

 最小限の言葉ばかりだが、その一言一言は実に気の効いた言葉で一緒の時を過ごす人間をとても気分良くさせる。そう、マリーの何よりの魅力というのは、美しさだけではなく、むしろそれよりもこの居心地の良い空間を作り上げれるところだろうか。是非私もこの空間を味わいたいものだ。

 ここでフェイ・ダナウェイとしてマリーを紹介したということは、この物語の核になる人物であることは想像に難しくはないだろう。高級なクラブでのひとときをご堪能頂いた後に申し訳ないが、次の場面はおどろおどろしい魔境・マゼンタに移る。

「は!? 今日はママいないの?」

 素っ頓狂な声で驚く客。

「はい~さいです~すんませ~ん」

 へらへらとへりくだる明石家。

「まぁその代わりって言っちゃなんですけど、うちが濃厚で濃密なサービスをごっつしますけど!」

 コスプレ担当の明石家の今日のお召し物は【サマーサンタ】。

 冬でもなければ夏でもない、この微妙な時期に微妙なセレクト。さすが関西人である。

「春のサンタが、お客さんにエッチなサービスしちゃうぞっ!」

 織姫を目当てに来た客はそんな明石家に青筋を立てる。

「あ、あ~ららぁ~? 青筋なんて立てちゃって……うちが好きなのは裏筋だっちゃ!」

「帰る!」

「そ、そんなぁ~サービスしまっせ~!」

 チャラリンとドアの開閉を知らせるベルを鳴らして客は怒って帰ってしまった。

「あ、……あほな……うち、うち、頑張ったのに……」

「……から(ママの客を横取りしようとするから)」

 背後に立つきゃりぃが明石家に聞こえるように呟く。

「プロとしてお客を怒らすなんて、まこと奈落に落ちんとわかりゃしやんなぁ。ねぇボン」

 居心地が良さそうにボックスでお菊に接客されている中年の男性は笑いながらビールを飲み干した。お菊はお客のことを、【かわいらしい=ボン】と呼び、【かっこいい=ダンナ】と呼ぶ。つまりこの中年の客はお菊にとってチャーミングなんだそうな。

「わっちのように、下心のない綺麗なサービスっちゅうのんが、まことお客に喜ばれるんでありんしょう?」

 そういいながらお菊はチョコレートを客の開いた口へと入れた。お菊の隣の席では、サキがキャッキャッと男性二人組みを相手にしていて、そこへきゃりぃが水割りのセットを持っていくところだった。BGMは岡村靖幸。誰のこだわりか、いつもこの店ではかかっている。カウンターではニャンニャン(ゆっちん)がスパゲティを作りながら客と話している。不思議なことにこのニャンニャンにすら客がついているのだ。お分かりだろう。織姫が休んでいる今夜のマゼンタでは今、ゲスト(客)がついていないのは明石家だけなのだ。

「殺生や! そんなん殺生や! うちはサービスには自信あんねん! ほんまやで」

 大げさなリアクションで周りが自分に注目するように喚く明石家。その滑稽なアクションは、少し面白い。

「じゃあお客さん、明石家ってどう思うっすか?」

 明石家の雑な振りに乗ってあげたのはサキだった。自分のテーブルのお客に明石家のなにが駄目かを暗に込め聞いた。

「明石家? う~ん、下ネタがゲスい?」

 そういうと一緒にいた片方のお客の男性が飲んでいた水割りを吹いた。

「がっ、ははは! そうそう! 確かに! 一緒に居たら疲れそう!

 なんかさ、明石家ってこっちが疲れてても平気でボケ放り込んできそうじゃん?」

 盛り上がる店内。先ほどのクラブゴールドとはまた違う楽しさがここにはあるのだろう。

 魔境と影で言われても、こうやって通うお客もいるのだ。だが、いくらなんでも『ゴールド』と比べるのは無理があるが。 ともあれ、これがマゼンタの日常の光景である。

 週末には1日に2回、規模は小さいがショータイムもある。男の香りが抜けきれないニューハーフ達の身の毛もよだつダンスがここで繰り広げられる。だが残念なことにお菊の舞は意外にも定評があり、お菊のショーの時はそれを目当てに来るお客も居るのだ。 さて、こんな魔物の巣窟を目の当たりしていて気になるのが、唯一の美人である【ママ・織姫】の行方だろう。つまりはパスタのことであるが、もちろん今回のオーダーについての仕事に赴いている。店を休むことは誰かに不審がられる恐れがあるので滅多なことでは休んだりはしない。しかも、マゼンタは交代制を採用し、年中無休を謳っている。こうすることで時折キャストがいなくともゲストは納得する。店休日を設定してしまうと、キャスト達の休みの行動が怪しまれるかもしれない、ということで年中無休を謳い文句にしている。

 誰に怪しまれるのか? 誰を欺いているのか?

 答えは全て、である。彼らの“シアン”での行動はいつどこで尾を掴まれるか分からない。

 ニューハーフの顔は、織姫とニャンニャンを除くメンバーにはそれも本来の顔であるが、犯罪組織としての顔は特定されてはならない。だから、そのカモフラージュとしての“マゼンタ”は特に重要なのだ。なにかの事件と、マゼンタの休業が被っただけで“もしかしたら”誰かが感づくかもしれない。

 “もしかしたら”その【if】の可能性がたったの0.1%であっても100%の安全が保証されない限り、それを徹底するのが彼らのルールでもあった。それぞれが裏の顔を持っている以上、全員がそれを納得済みである。

「店休んで遊びに行こうや!」

 あちゃ。いきなり私の面の皮をずるずるに汚してくれたのは明石家だった。自分だけ客のつかない現状に絶望している様子で、パーッと弾けたかったのだろう。そんな明石家の肩をニャンニャンの手が叩いた。

「にゃ、ニャンニャン……」

「暇ならキャッチに行くにゃん」

 時を同じくしてここは高級マンション群にある飲食街。そんな季節でもないのLEDの電飾で飾られた街路樹が目に痛い町。右を見ても左を見てもどれも小洒落た店ばかりだ。ワインを売りに燻製を出す店、チャイナドレスのウェイトレスが笑う中華レストラン、そして3つ星の称号を持つシェフが自慢の高級フレンチレストラン。

 このフレンチレストランにパスタはいた。いた、いるはず。いる……のか?

 確かにパスタはこの店にいるはずなのだが、どこにも見当たらない。目立つものといえば、腹の出た大柄な暑苦しい男だろうか。道端で見かけてもなんの不思議もないが、この高級フレンチの静かで絢爛な雰囲気にそのシルエットは似つかわしくないのだ。この目立ち方は、私がウェイターならば……割愛しよう。

「今日は織姫さんと食事が出来るなんて、自分幸せです!」

 その巨大なシルエットは豪快な声を張り上げて無理のある敬語で言った。

 ちらちらと他の客からも注目されている。だが注目されているのはその大声が原因ではなさそうだ。お聞き頂いただろうか、彼の呼んだ名を。

「なにを言ってるんですか荒崎警視。今日は私のほうがはしゃいでるんですよ」

 相変わらずの女声でパスタ……いや織姫は微笑む。

「けけけ、警視! い、いえ自分はまだ警部でありまして……はは、参ったな!」

 敢えて織姫の心のうちは覗かないでおこう。覗いてしまっては“悪い夢”を見そうだ。

「これまでお店が忙しくてすみません。でも、ようやく今日荒崎、“次期”警視と食事が出来て、私、嬉しいんです」

「やめてください! 自分のことはその、荒崎でいいんで! 警部も警視もいりません!」

 織姫が本物の女性であったのならば、この光景は腸が煮えくり返るほど腹の立つ絵だが、織姫が何者であるかを知っている諸兄含め私には実に微笑ましいシーンである。荒崎は何度も頭を掻いては興奮気味に自分のことを矢継ぎ早に話している。それを笑顔で大げさな相槌も時折挟みながら織姫は聞いている。

「そういえば荒崎さんは峠山さんの警護にあたられたんですよね」

 話の区切りを見計らい、絶妙のタイミングで織姫は荒崎に聞いた。

「はっ! そうなんです! 良くご存知ですね!」

 目を見開いて反応する荒崎。自分のことを知られていた喜びで打ち震えている様子だった。まさかこの男、織姫がニューハーフであるということを知らないのではあるまいか。

「いえ、その、ごめんなさい。店の女の子が10POTのTOHGEの大ファンらしくて。聞くところによるとこの間の駅前演説でTOHGEがお父さんの峠山さんの応援に駆けつけたって聞いて……ご、ごめんなさい! なんだか失礼でしたよね」

 少し困ったリアクションをとる織姫。もちろんこれも計算の上の行動である。

「そんなことないですよ! なんでも聞いてください!」

 なによりも困ったのはこの男の単純すぎる反応であろうか。

「ありがとう、店の女の子も喜びます!」

 “店の女の子”と発言しているのを見ると、やはり自分を女性と偽っているようだ。

「じゃあ荒崎さん。峠山さんの次の演説なんて……分かりますか?」

「つ、次のスケジュールですか!? 次は隣駅の寝原ですが、これは公表されてます!」

「いえ、その、ですね。……ああっ! やっぱりいいです! とてもこんなこと聞けない」

 わざとらしい演技にも見えるが、これを本当の女性にやられては(少なくとも私は)ひとたまりもない。なんでも教えてしまいそうだ。

「え!? え!?」

 しかし織姫がなにを聞きたいのかを察することが出来ず困惑する荒崎。織姫の中のパスタはさぞかしイラついていることだろう。

「その……前回TOHGEが応援に来たんですよね? それは、その……来る日は決まってるんですか……?」

 さすがにここまで言わせれば荒崎もピンと来たようだ。

「ああ! ……内緒ですよ」

 落ちた。

「次の日程にはTOHGEは来ません。一応私は配備には就きますが。僕達が聞いているのはその次の日程です。4月10日の門前が原駅にスケジュールを合わせてるらしいです」

 荒崎は出来るだけ小声で織姫に明かした。

「い、いいんですか? そんな秘密聞いちゃって」

 大げさに口を両手で覆い眉毛を八の字にする。

「信用できない人間にはもちろんこんなこと言えませんが……。織姫さんなら大丈夫です! 絶対的に信頼できますから!」

 ――なるほど。

 お、ようやく織姫の心の声が届いたようだ。それではもう少し彼(彼女?)の心の声に耳を傾けてみよう。 

 ――TOHGEが垰山の演説の応援に現れるのは4月10日。今日が3月の……30日だから10日くらいか。

 おや、織姫の中のパスタは荒崎に対して罵詈雑言の雨あられかと思われたが意外にも冷静に今回のオーダーについて考えているようだ。さすがにプロ。といったところか。だがしかし、読者としてはこんな真面目な展開は好んではいないであろう。庶民というのは下世話な展開を好んで食すというものだ。これは私の嗜好だと疑う御仁もいるだろうが断固違うとここで断じておこう。

 ともかく、パスタが荒崎に対して覗いている我々が後ずさりしてしまうほどの暴言を吐いていないのならば、ここは不本意だが織姫として彼の動向を見守ろうと思う。

「あ、すいません! タバスコないっすか?」

 ――あるわけねえだろこのブタゴリラ。

 ん、今我々が期待した言葉が宙を横切った気がするが気のせいだろうか。

「恐れ入りますお客様、当店にはそういったスパイスはご用意しておりません」

「え!? じゃあこれなにつけて食べんだ」

 苦笑いを隠し切れないウェイターの前で皿を持ち上げてじろじろと料理を見る。

「荒崎さん、キッシュはそのままで戴くのが一番おいしいですよ」

 パスタの顔を裏に抱えているとは思えないほどの眩しい笑顔で織姫は荒崎の手に触れる。極端とも思えるほどに肩を揺らして動揺する荒崎はにやにやと笑いながらもう片方の手でウェイターを払う。ウェイターは苦笑いのまま無言で去って行った。

 「え、ええ! そうですね! 織姫さんが言うならきっとそうなんでしょう! ……なんですか、えっとピザですか? これ」

 ――キッシュって言っただろこの霊長類!

 ん、今のは確実に聞こえた。お聞きいただいただろうか。我々の聞きたかった辛辣な言葉である。今日は安眠して頂けることは請け合いであろう。

「はあ、キッシュ? ピザですか」

「あはは、荒崎さんって本当におかしいですよね! 一緒に居ていてこんなに楽しいなんて」

「え? あは、あははは! いやぁ~」

 一体どの口が言うのだ。そもそもキッシュとピザは焼き料理だという他に共通点はない。

「まだ前菜ですよ? これから一品ずつ私を笑わせてくれるんですか? あ、分かりました! 私を笑わせておなかを痛くさせて私の分まで料理を食べちゃう魂胆なんですね?」

 もう一度言おう。どの口が言うのだ。織姫はすっかり我々に心の声を漏らさなくなってしまった。彼は今完全に彼女になりきっているのだろう。相変わらず他の客から時折チラチラと見られている。荒崎の蛮行がすっかり目立ってしまった。しかしその蛮行と反比例して更に増す織姫の女性的な魅力が他の客の目を3つ星シェフの振る舞う料理から奪うのだ。それほどまでにパスタの演じる“男の求める理想の女性像=織姫”は完璧そのものであった。織姫を演じるパスタ自身が男性であるのもそれを助ける大きな要因のひとつなのかもしれない。 

 なぜ織姫が荒崎と知人であるのか。それ自体は別段重要ではないと言っておこう。 糸井のケースと同意であるからだ。今後の利用価値を予見しての人脈である。糸井の場合は天河として、荒崎の場合は織姫として。パスタの本当の顔がどれなのか思わず分からなくなってしまうが、彼は“彼の時”と、“彼女の時”と両方の顔で異性を落とす。これが彼のプロフェッショナルである。荒崎に対しては、自分は伊右衛門町でクラブをしていると吹いている。もちろん、女性のキャストを使って、女性として。と。

 パスタはある方法を用いて実際に荒崎を店に招いたことがある。そこでのもてなしで荒崎は完全に落ちた。どんな方法を用いたかという疑問は後々に晴れると約束するのでここでは言及しないで頂きたい。

「これからどうします?」

 食事もあらかた終えた織姫は荒崎に尋ねた。

「どうする、というと……?」

 昔のスポ根漫画によく見られた鈍感な性格なようだ。いい歳をした中年がその言葉の意味を察していないとは。

「この後ですよ。私はもう一軒、行きたいな……」

 織姫は斜め下に少し俯くと上目づかいで荒崎を見た。

 ドッキーン! という漫画などでよく使われるプラスチックのような擬音が荒崎の背後に大きく現れるような錯覚。それほど彼の動揺は漫画そのものであった。大きな体格に似あわないおどおどとした挙動と、暑いのかそれとも脂汗か分からない大量の汗でYシャツを湿らせながら荒崎は喉を鳴らした。

「そ! そうですね! じゃ、じゃあカクテルが飲めるところにでも! どどうっすか!?」

「いいですね! 行きましょう!」

 私が言うのもおかしいが、ノリも完璧である。さすがは天河=パスタ=織姫。私が仮に荒崎であっても……割愛しよう。店を出て見送りのウェイターに手を振り、織姫はカチコチになって先頭を歩く荒崎に小走りですり寄った。実に心得ている。

「まだ夜は寒いですね」

「あ、熱っちぃっす!」

 もう駄目なようである。しかし織姫は大丈夫であろうか。このままだと襲われてもおかしくない展開が待っている。そうなってしまっては、天河に変身して彼をやっつけることは容易ではあると想像出来るが、今後荒崎を利用出来なくなってしまう。

『♪』

 そんな私の今後の展開を心配する気持ちに水を差すようにサザンオールスターズのミスブランニューデイがLEDの街路樹に響いた。

「……荒崎さん、鳴ってますよ」

 織姫が荒崎の袖をくいと2度、引いた。

「あ、はい! ただいま出るです」

 どんな日本語だ。荒崎は暑いのか、手に持ったジャケットのポケットを乱暴にまさぐると携帯電話を取り出した。ガラケーだ。どうもこの物語に登場する人物はスマホに移行できていない人間が多いようだ。現代ではこれをアナログとデジタルと言い換えれるのではないだろうか。

「もしもし! 狭山か」

 緊張しすぎて声のトーンをコントロール出来ていない荒崎は大声で話した。私がラスカルなら間違いなく逃げ出していたほどの大声である。

「……なんだと? それで」

 電話の向こうで狭山が何か深刻な報告をしているようだ。荒崎は顔つきを変えて何度か返事をする。少しすると荒崎は持った電話を折り、ズボンの後ろポケットにしまった。

「荒崎さん?」

 荒崎の名を呼ぶ織姫に向き直ると荒崎は一つ大きく深呼吸をした。自らを落ち着かせているようだ。

「すいません織姫さん。今日はとっても楽しかったです。ちょっと仕事が入ってしまいまして……」

 ここまで散々デレデレしていた荒崎は、今日一番はっきりとした口調で織姫に告げた。

「……そうですか! また誘って頂けるのを待っていますね」

 織姫は真剣な表情の荒崎に微笑みで返した。荒崎は通りがかったタクシーを挙手で停めると「織姫さん、どうぞ」と勧めた。だがそれに対し織姫は「少し酔いを醒ましたいんで荒崎さんが乗ってください」と笑って断った。荒崎は素直にそれに甘えるとLEDの星屑に消えて行った。

  遠ざかるタクシーが見えなくなるまで手を振る織姫は、すこしそのままで佇みタクシーが戻ってこないのを確認すると綺麗にセットした頭を掻いた。

「頭重ぇよ。ったく」

 髪飾りを装った乾燥パスタを頭から取り出すとそれをいつものように口に咥える。

「高級フレンチなんぞより、こっちのが」

 パリポリと音を立てる度に背を縮める乾燥パスタ。

「それにしてもいい仕事するな。シャラップの野郎」

 ハイヒールをコツンと鳴らしてパスタは尻を揺らして歩く。左右でヒールの高さを変えているのだ。かの伝説的大女優であるマリリン・モンローが用いたといわれる手法で、これがモンローウォークのそれになったと言われている。古今東西、いつの時代も男の目が釘づけになる方法は変わらないのだ。残念なのは、今それを披露しているのが男だというところだろうか。

「さて、網は仕掛けた。ここからが正念場……だな」

 LEDの星屑の中から弾き出された流星を追うように、視界で捉えたまま織姫は消えた。

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