水神水泡となる

「てかどうすんだよ」

「次々とぼろが出てるじゃん」

「こんなんなら久武さんついてけばよかった」

大学卒業時に茶々丸についていけば良かったと後悔しつつも今後どうするかを話し合っている最中にとうとう年貢の納め時がきてしまったようだ。

「警察だ!」

「抵抗せずに手を上げろ!」

「きたか」

「抵抗するな!」

とうとう連合どトコクエシンと日本鉄道に入っていたメンバー以外が逮捕されてしまった。最初の事件から10年がたち連合は他にも何件か殺人、強盗等といろいろと犯罪をおかしてしまった。

「円城寺お前土屋の居場所知ってるか?」

「はい知ってます」

「何処だ?」

「下風呂にいると思います私自身もここ1月はあまり話せてないもので」

「青森のか?」

「そこ以外に何処があるんですか?」

「いや大丈夫」

肝心の正胤の居場所がなかなか割れず副リーダー格の政金が取り調べを受けているが連合から一端距離をおき国内旅行を楽しんでいるのだがなかなか連絡が取れずにいたため居場所が分からずにいた。正胤は逃走の末一度は南に向かっていたが石巻から再び青森に戻り鉄道の乗り換えをしようとしていたところを五所川原で逮捕された。

全員の裁判が終わるまで6年かかり事件から16年がたち逮捕されたメンバーの内秋田神白以外が死刑の判決が神白は無期懲役の判決が下りその判決は社会で生活をしているメンバーにもニュースを通して伝わった。

「あの事件裁判のニュースみた?」

「みたよ」

「なんか結構今複雑な気持ち」

「ついこの間まで一緒に遊んでいたのにね」

「最近会えてないって思ってたらそういうことか」

「ねぇ僕今度正胤と面会しに行くつもりだからいろいろと聞いてくる」

「分かった宜しく」

それから面会をしに行く日程がたち面会の手続きを終え面会が始まった。

「ねぇ正胤何でこんなことしたの?」

「俺にも正直わからない」

「それどう言うこと!?」

正胤のわからないという発言に師秋は激昂し声を荒らげた。

「でもこれは一つ言える心の奥底に眠る何かが爆発した」

「そんなことありかよ」

「あと一年持つかなだから集合写真差し入れてくれる?」

「はぁもう良いけど残りの余生楽しんでね」

理解ができないような発言がありつつも面会の最後には友としての一面を見せ師秋を涙させた。

「正胤は何て言ってた」

「やった理由も分からないと」

「まじで言ってのか!?」

「落ち着け水瀬、千尋多摩川で皆で撮った写真あるでしょあれ一枚コピーしてくれる?」

「どうして?訳だけ聞いていい?」

「正胤が欲しがってたあいつの大好きなミヒャグジサマの御守りと一緒に持ってく」

「あんまり気は進まないけどいいよ」

正胤の要求に困惑する千尋であったがこれ以上本人に追求をしても自分等が納得する答えが師秋の反応から分かり渋々渡すことにした。

「久しぶり」

「まだ2ヶ月しかたってねぇよ」

「持ってきてくれた?」

「あぁミヒャグジサマの御守りも一緒に持ってきた」

「ありがと」

「俺はお前を許すけど皆や遺族に謝罪の言葉か手紙は送ったか?」

「いやまだ」

「はぁ他の奴らは一応送ってんだぞ許されるかは知らんが」

「分かった書くよ」

「書けたら俺のとこに送れお前が主犯で最後に捕まったから憎悪はすごいだろうし」

「うん写真と御守り本当にありがと」

精神的に衰弱しきっていた正胤だが受け答えははっきりしていたためどこか安心する師秋であった。師秋に続きルートヴィヒも面会に来ていた。

「正胤さん何でこんなことしてしまったんですかあの時の格好いい隊長は何処に行ってしまったんですか?!」

「何でかは自分でも良くわからないで悪は悪のまま散りたかっただから大学を卒業するとき久武に会社を設立しさせ道を用意出来たからもういいかなって」

「本当に意味わからない」

「ルートヴィヒ見てこれ師秋がくれた」

「私が来る前の写真ですか?」

「うん」

「師秋さんも本当にお人好しだなぁ」

「でもね後10ヶ月生きれるかなって思ってる」

「何故に?」

「うーん何となくでも今の法務大臣が結構ハイペースで執行してるのは知ってるでしょ」

「はい知ってますよそれでも先が長くないと」

「その通りだから今書いてる小説ができたら最後に読んでみてね」

「はい」

かつては隊長と慕っていた正胤の変わりように最初は困惑していたルートヴィヒであったが話を聞いている内に何か引っ掛かる部分があるようだ。

「正胤さん何か隠してません?」

「はれちゃったか犯行理由は師秋を誘おうと思ってたんだけど断られると思ったから莉央を誘った」

「理由はそれだけですかもうひとつ隠してませんか?」

「そうだね実は娘がいて今は姉のところに居るんだけど小説を書いている理由は娘に金を遺しておきたいから」

「分かりましたお姉さんには伝えませんが久武さん達にお伝えしておきます」

「宜しく頼むよハノーファー」

師秋には遠慮をしていたのかルートヴィヒには犯行理由と娘がいたことを話してくれた。

「失礼します」

「どうしたハノーファー?」

「先週隊長の面会に行ってきたのですが色々と興味深いことが聞けたのでお話をと」

「正胤から聞けたことは?」

「犯行理由ともう一つ重要なことです」

「じゃあ犯行理由から聞こうか」

「師秋さんを誘おうとして断わられる予感がして莉央さんを経由したが莉央さんからも断わられやったとの事」

「あってるのか久武?」

「確かに事件の後にその様なこと言ってたな」

「ほんと許せん」

「で、もう一つは」

「娘さんが居ること現在隊長の姉のところに居るらしいですそれと娘さんのためにお金を遺しておきたいとのことです」

と正胤の姉以外に赤裸々に語った。正胤の予想どうり事件から17年がたった2040年2月16日に正胤と政金、広末が執行され

2月29日に頼兼と種火、崎守の刑が執行された。

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