止まる時と進む時

短い2月も17日目になり入学の手続きを終わらせ東都に戻り奥多摩までいくために昭島で飲み物を買おうとしている師秋に水瀬から一本の電話が入った。

「もしもし、師秋緊急で昭和町の病院に来て」

「何で?」

「莉央が誰かに刺されて瀕死状態」

「分かったすぐいく」

その電話は莉央が瀕死状態であることをすぐさま病院に向かえとの水瀬からの電話であった。指定された病院に最寄り駅から走って向かっているときに二つ目の事件が起きてしまう。

「嘘」

師秋は焦るあまり赤信号を無視してしまい車に引かれてしまった。

「水瀬、師秋も事故にあったて」

「嘘でしょ」

重い出来事が重なってしまい混乱している間に莉央が振り絞りる様に声をあげた。

「ねぇ瑠奈、水瀬昌信を頼むよお願い」

「分かったから安静にして」

恐らく最後にあげただろう話は最期まで自分の弟昌信を案じるものであった。

そして皆が泣いている少しの間に追い撃ちをかけるように莉央の容態が悪化し30分後に亡くなってしまい師秋もかなりの重症だとの話が入ってしまった。

「何で、何で莉央が死なないといけないんだよ」

「莉央?起きてよねぇ起きてよ莉央」

「「……」」

つい2、3日前にまで楽しく話し笑っていた莉央だが何者かのせいで悲しい死を迎えてしまった。

「…ねぇ、師秋も事故にあったんでしょ莉央が死んだことは今は無理矢理にでも受け入れて師秋が生きかえるのを願おうよ」

「そう…だね」

「莉央は僕らの心のなかに生きている」

無理矢理受け入れられない友のの死心の奥にしまい師秋のもとに向かう。

「先生?!師秋の容態は?」

「意識が五分五分ってところですね意識が戻るのに1ヶ月ほど要するかもしれない」

医者からの師秋の意識が戻るかもしれないという言葉に皆が安堵の表情を見せる。それから5分程すると正胤や久武達が長久の連絡で駆けつけてきた。

「医者様はなんと?」

「落ち着いて生きるか死ぬか五分五分だって」

「死ぬなよ師秋皆心配しているぞ」

それから予定通り莉央の法要が終わり皆がそれぞれの春休みを楽しんでいるが警察からも事情を聞かれている。

「莉央さんのお親友方ですか?」

「はい」

「どうされました?」

「事件ご起きた時間近くの莉央さんの様子をお聞きしたいのですが」

「確か前日に連合の人達と話してましたよ」

「土屋と毛屋とか円城寺とかその辺りですか?」

「でも日付変わるくらいに莉央から電話があって連合との話が終わったと聞きました」

「ありがとうございましたまたご協力お願いします」

そうして自分達の覚えている限り知っている限りの情報を警察に伝えた。

そうして49日の法要が終わった4月5日莉央の両親と友達のもとへ師秋母から師秋の意識が戻ったとの連絡がはいった。

「師秋おはよ」

「師秋私嬉し~」

「あのね皆聞いて一時三途の川渡りかけたんだけど莉央がこの世まで道案内してくれたあと高校や正胤達の事が映画みたいに出てきたんだ」

「莉央のお陰なんだ」

「うん三途の川に付くまで映画館にいるみたいだったよ」

「そんなことがあったんだ」

「そういえばあんた学校遠いじゃない家どうするの?」

「多分どうにかなる」

京都皇国大学の春休みは珍しく二ヶ月半近くある大学である。

「でも良かったじゃん師秋私らと大学も一緒だし長久の大学も近いし」

「そうだ皆で同じマンション借りるんだけど一部屋余ってるからどうする?」

「そうするは水瀬その一部屋の手続き書類ある?」

「あるよ」

それから書類を書き荷物を部屋に送ると退院の日である8日までゆっくり休養しつつリハビリをこなす日々が続く。

「お世話になりました」

「師秋早く早く」

「皆で食べに行ったハンバーグ食べに行きましょ」

ようやく退院をし何時もの日常に戻った。

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