第182話 アドラの森 2 帰宅
当日。
私は竜の巫女の皆に見送られている。
「絶対に帰って来てくれよな! 」
「エルゼリアさんがいなければこの町は大変なことになりますので」
「待ってる」
「…… (コクリ、コクリ)」
中々に嬉しい事を言ってくれるじゃないか。
「エルムンガルド殿から聞くに中々個性的な所と聞きます。どうかお気をつけて」
「
「土産、待ってるぜ」
大人達は中々にひどい。
他の皆からも「帰ってくるようにと」念押しされる。
大丈夫だと言っているけど心配なのだろうね。
「じゃ、行ってくる」
そう言い私とソウは転移魔法でアドラの森に帰った。
★
少しの浮遊感を覚えたと思うと着地した感触を受ける。
森独特の臭い……、ではなくどちらかというと賑わっている町のような匂いが鼻を突く。
あちらこちらで大騒ぎをしている声が聞こえ、変わらないなと思いながらも、少しげんなりとした。
「……はぁ」
「我は賑やかで良いと思うのである」
「ならソウは何で私と契約してまで外に出たんだよ」
「その方が面白いからである! 賑やかな森も楽しいが、外の世界というのもまた違った楽しみがあるのである!!! 」
私は肩の上にいるソウを見て、契約した時の事を思い出す。
あれは確か私も暇を持て余して森の奥で遊んでいた時だ。
いきなりこいつが現れて『外に行きたいのである! 』と騒ぎ出したのが原因。
まぁおかげでこうして契約が出来たのだけど、思い返すと本当にめちゃくちゃな出会いと契約だったな。
あの後も森の皆が騒いでなんので。
「あれ? エルゼリアじゃない? 」
「本当だ! エルゼリアだ! 」
「皆ーーー!!! エルゼリアが帰って来た!!! 」
思い返していると精霊達が近寄ってきて大声で叫ぶ。
「お前達も元気だな」
「元気よ元気! 」
「むしろ元気しか取り
「ちょっと。それは酷いんじゃないのかな? 」
「ええっと、その……」
本当に変わらない。
元気で楽しい事が大好きで好奇心旺盛なのは、どこの精霊族も共通なのだろうか。
その辺を精霊女王エルムンガルドに小一時間ほど聞いてみたい。
「トゥ!!! 」
「ヤァッ!!! 」
クルクルクル、シュパッ!!!
突如二人のエルフが空から降って来てポーズを決める。
私にドヤ顔を向けるが……恥ずかしい。
物凄く、恥ずかしい!!!
「お久しぶりね。エルゼリアちゃん! 」
「どうだ! 百年の時を経て進化した我々の斬新な登場シーンは!!! 」
「………………観光客の前でやってないよな。父さん母さん」
「何を馬鹿なことを言っているんだい? 」
「人の前で見せてこそのパフォーマンスよエルゼリアちゃん! 」
「………………つまりやったと? 」
「「もちろん!!! 」」
最悪だ……。
「待ってください
「私達も! 」
「「「いくぜぇ!!! 」」」
「トゥ! 」
「お帰りエルゼリア! へイヤァ! 」
どんどんと
これだから子供達を連れて帰りたくなかったんだよ。
「……ただいま」
★
空から落ちて来る変人、もといアドラの森のエルフ達を魔法で打ち落としたいという
久しぶりの我が家はかなり大きなツリーハウス。
森長の家である。
「で。エルゼリアちゃんは結婚したのかい? 」
「エルゼリアちゃんももう三百。そろそろお
「そんな予定はないしいらない」
「「えええ~~~」」
きっぱりというと残念がる
銀髪で緑の瞳を持つのが私の父エルディンで、青い髪で深く青い瞳を持つのが私の母エルドナだ。
容姿を見ればこの二人の血を強く受け継いでいるのがよくわかるのだけれど、性格まで似なくてよかったと本当に思う。
父エルディンは森長だ。
森長というのは国で言う所の国王のようなもの。
まぁ国王というよりかは纏め役の意味合いが強いが、この広大な森を仕切っているのだから国王でも間違いないと思う。
性格に
今もしくしくと
様々な国から人がやって来て常にお祭り騒ぎが起こっている。
思い返せばやってくる人達がどんな所で生活をしているのかと興味が
いやソウが騒いだほうが先だっけ? 細かい事は忘れてしまった。
森のエルフ達に難があるが、この森に生まれてよかったとも思うのが
「いつまでそうやって蹲っているんだ? 」
「だってエルゼリアちゃんの
「DVよ! 逆DVよエルゼリアちゃん! 強化されたエルゼリアちゃんのアイアンクローは鉄をも握りつぶすのよ。このままだとお父さんの頭がトマトのようになってしまうわ! 」
「むしろ潰れろ」
「……いつも騒がしい連中なのである」
ソウの溜息を聞きながら父さんを放り投げて休憩に入った。
自分で飲み物を用意する。
頭に包帯を巻いた父さんが物欲しそうに見て来るが母さんに作ってもらえばいい。
「あぁそうだ。エルゼリアちゃん」
「なんだ? 」
「帰って来たこと、原初様にお伝えしておいてね」
「そうだ……なっと! 」
「ギャァァァァァ!!! 何で! ウィンクしただけなのに! 」
「父さんキモイ」
父さんが
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