白銀の少女
ハヤトは銃を構え周囲を警戒しながら進む。
遠方からコウヤの援護があるとはいえ遮蔽物のない荒れ地を進むことに不安がないと言えばうそになる。ほとんどの通信網が遮断されているのはハンターたちも同じ、すべての情報がリアルタイムですべてのハンターに共有されているわけではない。今の襲撃の件が他のハンターに伝わっている可能性がゼロではない。
ハヤトはぶすぶすと煙を上げるハンターに近づく。
ハンターに近づくとすぐに違和感に気づいた。
何度か襲撃に参加したことがあるので今回、ムカデ型のハンターに遭遇したのは初めてではない。そのハヤトから見ても今回のハンターは異常としか言いようがない。
確かにムカデ型のハンターを行動不能にしたのはコウヤの狙撃のおかげだが、それ以前にこのハンターは満身創痍の状態であったのだ。
『ハヤト、捕まっている奴はいたか?』
無線機から声が聞こえた。
振り返る。視線の先にはコウヤがいるはずだ。
「ああ、一人だけだ」
『一人? 生存者が一人ってことか?』
コウヤの声は不安げだ。自分の攻撃で他の者が死んでしまったのではないかと心配しているのだろう。そうではない。コウヤは女の子が捕獲される瞬間を見ていない。
「大丈夫。どうやらハンターは彼女一人だけを攫っていたらしい」
『彼女…………って、女か!?』
コウヤの声は嬉しそうだった。
「ああ、可愛い女の子だ」
『そうかぁ、女の子かぁ……』
ちょっと落胆したような声だったが、すぐに『数年後を楽しみにすればいいか』と明るい声になった。
楽観的というか楽天的というか、前向きというか考えなしというか……
「どうやら気を失っているみたいだ。怪我をしているかもしれない。巣穴に連れて帰ろう」
ハヤトの声に『了解』とコウヤが応えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます