発露

 時は既に夕方。 

 魔物討伐から帰ってきたマキナはいの一番にお風呂へと入って体をさっぱりした。


「グレイスーっ」


 そして、マキナはお風呂あがりでまだ乾ききっていない体に下着を来ただけという恰好でグレイスのいる彼女の部屋へとやってくる。


「……ッ!?!?」


「朝風呂入っていたけど、また入るー?戦って汗もかいたでしょ?」


 マキナの恰好を目にいれたグレイスは頬を染めてベッドの上で身じろぎする。

 いつも、彼はこれくらいラフな格好で当たり前のように出歩いている……故に、これくらいのことであれば慣れているといえば慣れてはいるのだ。

 だが、タイミングが問題であった。


「グレイス?」


 鎧を脱いでインナーだけを身に纏っているような恰好。

 そんな恰好でマキナの体を凝視しながらじっとベッドの上で動かない彼女へとマキナは不用心に近づいて声をかける。


「……ッ!!!」


 自分の目の前に立つマキナ───。


「マキナッ!!!」


 ───そんな彼を前にしたグレイスはもう我慢の限界であった。

 思わずと言った形でマキナのことをベッドの上へとグレイスは押し倒してしまう。


「えっ……何?」


 そんなグレイスに対してマキナは困惑しながら口を開く。


「僕はなんでもするよ?君が望むのなら、ね。確かSMが良いって言っていたよね?君に叩かれるのなら良いよ。むしろ、ご褒美だ。僕が叩くのは少し怖いけど君が望むなら頑張るよ。確か蒸れた汗の匂いとか腋毛とかも良いんだっけ?君が望むなら少し恥ずかしいけどお風呂に入らないし、毛も剃らないよ。アナルだって君の好きなようにしてあげるし、外でも良いよ。雌犬でも奴隷でも、甘えられるお母さん役目でも君が望むならなんでもやりとげるし……少しだけ抵抗あるけどスカトロプレイだってやるよ。僕なら、マキナの性欲の全てを受け止めてあげるよ」


 そして、グレイスは堰が切ったかのように言葉を垂れ流す。

 押し倒しておきながら自分が受け止めてあげるなどと話している。


「……え、ぁ……」


 グレイスの口から出てくる怒涛の下ネタにマキナはただただ動揺し続ける。


「ねぇ、僕はマキナのことが好きだよ……君は、どうなのかな?」


「……ぇ、あ、いや」


 いきなりのことにあまり追いついていないマキナは動揺の色を見せる。

 マキナは性欲について理解していないが、その性欲は人一倍強い。

 そんな矛盾を抱えるマキナは己の元に訪れたいきなりの異性に困惑し、頭が沸騰してしまう。


「ふふっ……まぁ、それは君の体に聞けば良いよね?」

 

 獰猛な笑みを浮かべるグレイスは顔を真っ赤に染め上げるマキナのことを抱きしめ、そのままその小さな顔を自分の豊かな胸へと埋める。


「はなぁ……ッ!?」


 マキナは童貞である。

 どれだけ威勢の良いことを宣っていようとも所詮はただの童貞であり、実際にこうして女の子に優しく抱きしめられれば何も出来ない。

 ただただ動揺するだけである。

 己の知らない感覚を前に涙目になって動揺することしか出来ない。


「……ぁ」


 鎧の下にあったせいか、実に蒸れてじっとりと湿った黒のインナーから漂ってくる発情する雌の強い匂いがマキナを酔わせ、グレイスの口から漏れ出てくる甘ったるい吐息がマキナの理性を溶かしていく。

 グレイスの豊満な体つきも、その熟成された色香も未だ女を知らず、まともに女というものを理解していないマキナには刺激が少々強かった。


「いただきます」


 情欲に濡れ、その相貌を歪める一匹の雌は己の下に組み伏される一人の獲物へと己の持つ性欲をぶつけるのだった。




 新作です!読んでぇー

『悪役貴族として転生したけど、ゲームの推しとラブコメしたい!~ただモテたいがために心を入れ替えて努力していただけなのに何故か周りか聖人君主として崇められるようになったのですが~』

https://kakuyomu.jp/works/16817330668548840966

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る