魔物討伐
グレイスが限界を迎えつつあった中で、マキナはそんな彼女にも気づかず魔物退治に精を出していた。
魔族からの襲撃は減ったが、その代わりとして魔物による人類の生存圏への襲撃は著しく上昇している───ここ最近、人に化けた魔物が街にいることも散見されたこともあって、魔物による被害はどんどん深刻なものになっている。
「ふんふんふーん」
そんな状況を少しでも収めるために常に勇者パーティーには魔物の対処をするよう依頼が鳴りやまないのだ。
現在、レミヤとレーテムは他国へと遠征している最中である。
ここ最近のマキナの不調によって動けなくなっていたことで勇者パーティー全体の行動範囲が極端に狭まったこともあって辺境の国への被害がシャレにならないところにまで来ているのだ。
「グレイスー、そっちの方は倒し終えたー?」
最強クラスの魔物である竜の群れを魔法で片付けたマキナは自分とは別の場所で戦っていたグレイスの方へと視線を送る。
「えっ!?……あっ、うん!た、倒し終わったよ!?」
いきなり自分の隣にマキナが立ったことにグレイスは動揺しながら言葉を返す。
「それなら良かった……ということで今日の依頼はこの辺りで終わりかな?まぁ、そこそこいい感じに倒せたでしょ。んー、久しぶりの戦闘だったけど何の問題もなし。快調そのもの。実に素晴らしいね」
マキナは自分の仕上がり具合に満足しながら頷く。
何だかんだで魔王の能力であった完全回復も自分のものとして見せた。当たの戦いで得たものも大きかっただろう。
「怪我の功名というべきか、新しい便利な技も手に入れたし、あの激闘も決して無駄ではなかったね」
マキナは一人満足そうな表情を浮かべながら言葉を話す。
「……うぅ」
ちなみにではあるが、チラチラとマキナの方へと視線を送っているグレイスのことは完全に無視だった。
「それじゃあ、帰りますかー」
グレイスが今にも獣のように理性を失いかねない状態になっているとは気づかないマキナは軽い態度で自分たちの拠点への帰路へ着くのだった。
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