邂逅
魔王軍との激闘によってマキナが本調子を失ってから一か月後。
「んーっ。もうバッチリだね」
ようやく本調子を整えつつあるマキナはグレイスたち三人に気取られないようにして、家から抜け出し、誰も居ない辺境の荒野へとやってきたマキナは大量の魔法を使いながら問題なく戦えることを確認する。
「それに、だ。今度こそ魔王の能力も問題なく使えるな。うーん……これは英雄の器と名付けよう」
そして、何の代償もなしに自分の体力並びに魔力を全快させる魔王の能力も完全に掌握してみせた。
これからはこの能力を使っても自分を見失ったりすることはないだろう。
「確認したいことは確認できた……帰るか。勝手に抜けたことだし……多分だけど三人は怒っているよね。良い感じに運動できるでしょう」
そして、マキナはやりたいことを終えて満足した面持ちで自分の元居た家の方へと戻るべく転移魔法を発動させるのだった。
「ふんふんふーん」
家の方へと転移魔法で帰ってきマキナは軽く鼻歌を歌いながら玄関の扉を開ける。
ちなみに鼻歌を歌っているからと言って別にマキナは機嫌がいいわけではない。
声というのはそれだけでも力を持つ不思議なものである……言霊から派生する魔法の数は多い。
つまり、鼻歌も言霊の一種として魔法の効果を高める触媒としての機能は十分すぎるほど有しており、マキナは鼻歌を歌うことで自分の身を隠す魔法を強化しながら歩いているのだ。
「ただいまー」
家の方に帰ってきたマキナは己の身を隠す魔法をしようしながら洗面台の方へと向かっていく。
「よいしょ」
マキナは一切の躊躇なく洗面所の扉を開けてその中へと足を踏み入れるのだが、そこには先客が立っていた。
「……へ?」
そこにはお風呂上りと思われるグレイスが立っていたのだ。
鎧もその下に来ているインナーも脱いで生まれたままの姿を晒し、バスタオルの方へと手を伸ばしている最中のグレイスだった。
「「……え?」」
帰ったきて手を洗おうと洗面所にやってきたマキナとお風呂から上がって洗面所に立つ全裸のグレイスの視線がバッチリと合う。
「……」
そして、そのままマキナの視線はそっとグレイスの全裸へと落ちていき、それに伴って彼女も視線を落としていく……具体的には自身の大きな乳房へと。
「キャァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええええええええ!?」
家の中に。
慌てて全身を隠すようにしゃがみ込むグレイスの絶叫と、マキナの心の底からの驚愕の声が響き渡るのだった。
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