決着
「(……ちょっと危なかった)」
自分の原点とも言えるような光景を少しだけ思い出してしまい、いつも以上にパフォーマンスをしてしまい、本来であればもっと早くこれたのにも駆けつけるのが遅れてしまい、あと少しで犠牲者
「……」
というか、割とギリギリだった。
あと一歩遅れているだけで確実に死者が出てしまっていただろう……国王の人とか良く生きていたな、って思う。
イスタルが舐めプをしてくれていたおかげである。
「ど、どういうことだァァァァァァアアアアアアア!」
僕が適当に使った魔法で軽く吹き飛ばされたイスタルが立ち上がり、驚愕の声を上げる。
「どうし、て!どうしてお前が体力も魔力も回復させた状態で立っている!?」
「お前が最も知っているだろう?この現象は」
どれだけ、どれだけ動揺した態度を見せようとも、決して僕の瞳に映る色が無色のままであるイスタルへと僕は適当に言葉を返す……魔族の英雄になることは出来ない。だから、別にこれを潰すのに躊躇う理由はないだろう。
「ま、まさか魔王様の……いや、そんなわけがあるわ」
「けがあるんだよ」
僕は震えながら告げるイスタルの
「一度、魔力の流れはすぐ目の前で見たしな。あれだけあれば真似するのには十分だよ……未だ、一日しか僕も使えそうにないけど、これは便利だよね」
あの魔王の形代からは便利なものを貰った。これがあれば今回のような無様を晒してもすぐに解決できるだろう。
「……ッ」
僕の言葉にイスタルは一度言葉を詰まらせ。
「ばかな……ばかなばかなばかなぁぁぁぁああああああああああ!ありえない!?認めないぞ!認めないぞ!?こんなことを俺はぁ!魔王様の叡智をお前が如きが模倣するだとッ!?そんなもの───ッ!」
そして、ダムが決壊したかのように多くの言葉を喚き散らす……ここまで来ても魔族の感情の色は無色のまま、本当に。魔族たちと僕は合わないのだろう。
「よくもまぁ、あれだけ警戒して罠に嵌めた末に勝った状態のくせして如き、とか言えるよね……でもまぁ、とりあえずは黙っていてよ」
いつまでも喚き続けるイスタルの口を僕は魔法を使って強引に閉じさせる。
魔族にかける慈悲など存在しない。
「……ッ!……ッ!」
「さようなら」
そして、僕は自分の指を少しだけ横にスライドさせ、そのまま不可視の刃でもってイスタルの首を飛ばす。
「首落としのやり返し」
完全勝利。
問題なく今回もしっかりと英雄として勝ちきった僕はほっと一息をつくのであった。
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