英雄としての意地
圧倒的な不利な状態での戦闘。
そこでマキナは迷うことなく速攻で勝負決めるべく動きだす。
「……ッ!」
転移によって容易にイスタルの背後を取ったマキナはそのままイスタルの首を掴んで自分の貼った結界へと叩きつける。
「が、っふ!?」
それと同時に放たれるマキナの複雑な魔法が一瞬にしてイスタルの身を守っていた
数多の魔法を破壊する。
「ま、魔王様の加護がッ!?う、うわぁぁぁぁぁああああああああああ!!!」
一瞬にして動揺の色を見せて逃げ出すイスタルは、脱兎のごとくすべてをかけて逃走してみせたイスタルの勢いに振りまけてマキナはこらえきれずに逃がしてしまう。
「……」
だが、それでも冷静なマキナは幾重もの魔法でイスタルの身を縛る。
「な、舐めるなぁぁぁぁ!?」
捕らえられたことで現状位置を再度認識したイスタルは少しでもマキナの魔の手から逃れるために行動を開始する。
持久戦で有利なのは圧倒的にイスタルなのである。
「……ッ!?」
だが、地力があまりにも違い過ぎた。
イスタルが発動させたすべての魔法はマキナの前に力押しで封じされ、そのままその身ごと動きを封じてしまう。
「ば、馬鹿な……」
マキナは何も出来なくなったイスタルへと地を蹴って一気に距離を詰めていく。
「魔導解放・天ノ界・皙」
そして、発動させるのは魔導解放。
地味にゴキブリ並みの生命力を持つイスタルを確実に倒すためにマキナは必殺の白炎を自分の手刀に纏わせる。
「……ぁ」
最後の最後。
今にも首を刎ねるという寸前でマキナの魔力が切れ、魔法の発動が終了する。
魔力消費の多い魔導解放を維持できず、イスタルの首には必殺の白炎を纏った手刀ではなく柔らかい素手が当たる。
それとともに囚われていたイスタルも解放される。
「は、……はは、はっはっはっはっは!」
最後の最後で賭けに勝利したイスタルは高笑いを浮かべながらマキナを蹴り飛ばす。
「はっはっは!ばかめぇ!英雄気取りの餓鬼がァ!このようなものをいつまでも維持しているからそうなのだ!」
今にも消えかえている結界の上で高笑いを浮かべるイスタルは既に満身創痍のマキナを見下しながら言葉を吐き捨てるのだった。
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