二戦目
魔王の形代を無事に討伐し、世界魔法の外へと脱したその瞬間に何者かに腕を取られたマキナはそのままその人物に転移の魔法をかけられ、どこかへと飛ばされてしまっていた。
「……ここは」
世界魔法から脱したことで崩壊魔法からの脅威より脱したことで常に回復魔法をかけている必要のなくなかった空いたキャパシティーを腕やその他の怪我に回したことで徐々に回復していくマキナは自分の飛ばされた場所を確認していく。
空に輝くのは太陽であり、その下には多くのものたちが生活を営む街が広がっている。
「……王都か」
そんな街並みを確認したマキナはぼそりと呟く。
マキナが転移で連れてこられたのはルースト王国の首都であった。そこに並ぶ街並みも、中央で輝く城も、そして何よりマキナを見て各々の感情を浮かべる民衆にマキナは覚えがあった。
「その通りだとも」
そんなマキナの呟きに彼の腕を掴んでここまで転移で連行してきた男が頷く。
彼は魔王軍のNo.2であり、魔王軍四天王と比べても飛びぬけた実力を持つ魔王の右腕。宰相イスタルであった。
全身を黒色の鎧に纏い、マントを羽織る彼は騎士然とした態度を持っている。
人型ではあるが、肌は紫であり、その頭から二本の立派な角が伸び、白目は真っ黒に染められている。
「さて、第二ステージは気に入ってくれるかい?」
イスタルは騎士然とした姿でありながら、騎士道なんて言うものをまるっきり無視して特大の魔法を街中に叩き込む。
「キャァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?」
「……ぁ、あぁぁぁぁ」
「神よ……!」
突然現れたマキナと魔族に対して困惑しながら上を見上げていた王都の民は自分たちへと向けられる特大の魔法に困惑の声を上げる。
「……」
「ふむ。流石に防がれるか」
特大の魔法によってはじけ飛ぶはずだった王都はマキナの結界に防がれたところでその姿を完全に維持することに成功する。
マキナの強力な結界は揺るぎない……イスタルは確かに魔王軍のNo.2であるが、それでも魔王の形代とですら、その強さを比べたら格下である。
地力ではマキナはイスタルを遥かに凌駕する。
「だが、いつまで守れる?お前の残存魔力は幾つだ?」
だが、だが、だが、だ。
今であれば別だろう。幾重にも罠を作り、世界結界という有利な条件に持ち込んだうえで初見殺しの奇襲すらもすり抜けて魔王の形代に勝利してみせたマキナといく怪物を倒すことが───ただ唯一、イスタルにも希望があるタイミングがあるとすれば今を除いてないだろう。
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