幾つもの世界結界
遠距離戦でも無類の強さを発揮し、近距離戦でも同じく無類の強さを発揮するマキナはまさにチート。
「……貴様に、何が出来ないと言うのだ」
そんな圧倒的なマキナに心臓を貫かれたガープは悔しそうに眉を顰めながらぽつりと言葉を告げる。
「いくらでもあるよ?そんなの。僕は服とか縫えないもの」
ガープの言葉に対してマキナはどこまでもズレた答えを返しながら手を引き抜いて彼の体を蹴り飛ばす。
「世界結界───鬼島雄芳」
ガープの体が地へと落ち、その身を完全に尽かせる……よりも前にガープは辛うじて世界結界を発動する。
「……ッ」
急速に狭い地下の中から広い新たなる世界へとこの場が広がり、マキナの立つ場が変わる。
「(世界結界……?今更何のために?)」
恐らくはガープが極めた魔法が身体に関する魔法なのであろう。
世界結界のおかげで死ぬ一秒前のところでなんとか生を繋いでいるガープはふらふらとした足取りで立ち上がるのを見ながらマキナは一切慌てることなく現状を分析する。
「(ここで僕が世界結界を開くのは愚行だ……例え、相手の世界結果内であっても瀕死の相手くらい確実に殺せる、が。今更ガープの死の未来は覆らない)」
マキナは視線を上へと向ける。
「(世界結界内じゃ外の様子がわからないし、あの死にかけを完全に殺すのにも時間がかかる、か)」
この時点でマキナに躊躇いなんてなかった。
「世界結界───天磐岩戸」
両手を合わせたマキナは世界結界を発動。
一瞬にしてガープの世界結界を塗り替え、それと同時に外の世界への認識を可能とする。
自分で閉じた世界からであれば外の様子もマキナであれば図ることが出来る。
「……あぁ、そうすると思っていたよ。どこまでもある、マキナのもつただ一つの」
あっさりと己の世界結界が塗り替えられても一切の動揺を見せることのないガープはなけなしの力を振り絞って天を仰ぎ見て口を開く。
「そうか、死ね」
その言葉の真意について一切考えないマキナは一切の容赦なく魔法の雨をガープへと叩き込む……だが、それよりも前にガープの口より二本の紫の腕が伸び、それらが両手を合わせる。
「世界結界───摩天崩脈」
そして、再び展開されるは世界魔法。
三つ目の世界魔法である。
「本命は僕か」
冷静に現状を把握したマキナは上の危険が一先ず無いことを悟り、体から力を抜くのだった。
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