第8話
私はセレを預けたその日の夜、両親と今後の事を話し合った。
まず、セレを預かってもらう期間は二週間だ。一応、処方してもらったお薬が切れるのが二週間後。その間は私がなるべく、実家に通うと約束した。
「とりあえずはそんなとこね、後は。空美、あんた一人で大丈夫?」
「大丈夫よ、心配性ね。母さんは」
そう言いながら、母が淹れてくれたお茶を啜る。父も同じようにした。
「空美、お前な。いきなり、セレちゃんを連れてきた時は驚いたけど。ちゃんと最後まで世話をするんだぞ」
「分かったよ、約束はする」
「まあ、そう言うならいいが。さて、もう八時だし。そろそろ、帰りなさい」
私は頷いて、お茶をぐいっと呷る。一気に飲み干すと湯呑みを母に差し出す。
「ご馳走様、本当に帰るね。夕飯、ありがとう。じゃあ、また明日ね。父さん、母さん」
「ああ、いつでも来なさい」
「うん、また明日。空美」
両親は笑いながら、言ってくれた。私は湯呑みを手渡すと立ち上がる。玄関に向かったのだった。
自宅である借家に帰ると、あまりの静かさにちょっぴり寂しさが募った。それでも、首を横に振る。無理に寂しさを追い出すようにショルダーバッグをソファーに置いた。寝室に行き、着替え用の衣服を出す。一階に降り、洗面所に行った。ヘアピンで前髪を留めて、水道の蛇口を捻る。ぬるま湯を出したら顔を軽くすすいだ。クレンジングオイルを棚から出して、メイクを落とす。一通りしたら、またぬるま湯ですすいだのだった。
メイクが落とせたら、タオルで水気を拭く。ヘアピンを外してとりあえずは普段着に着替える。グレーの厚手のトレーナーに黒の長ズボンを履いた。
キッチンに行き、冷蔵庫の前に立つ。夕食は済ませてきたし、軽く水分だけとるか。そう思い、ミネラルウォーターを出した。二口か三口飲み、また仕舞う。あ、お風呂に入らなきゃ。思い出して、慌ててまた寝室に行った。
お風呂場に向かい、洗剤を取る。
浴槽を軽く洗い、シャワーですすぐ。一通りすると蛇口から、適温のお湯を出した。栓をしたら、浴槽に溜めた。
お風呂場もとい、浴室から一旦出る。しばらく待って、お湯の入り具合をチェックした。もう、浴槽の八分目くらいまで入っている。キュッと蛇口を捻り、お湯を止めた。
「よし、後は着替えだけね」
一人で呟くと浴室からまた、出た。リビングから着替えを取ってきて、脱衣場のカゴの中に入れる。次に着ていた服を脱いでいく。お風呂に入ったのだった。
入浴を済ませると、ドライヤーで髪を乾かす。セレの全身を乾かすのは大変だったわ。ふと、思い出す。また、寂しさが頭をもたげる。いけない、いけない。私はそれを振り切り、乾かす事に集中する。出来たら、お化粧水や乳液を塗りこむ。脱衣場を出て、寝室に向かう。就寝したのだった。
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