(9)

 熊女は気絶したけど……ラートリー達も体力を使い果たしたようだった。

「さて……お小言の時間だ……」

 座り込んだまま、荒い呼吸いきで、アスランにそう告げるラートリー。

「あとでいいだろ。いくらお前でも……その状態じゃ……ロクな悪口を思い付けそうにねえぞ」

「うるさい」

「ほら、いつものお前なら、もう少し、気の効いた事を……」

「よ……良かった……」

 その時……ウチのお嬢様の声。

「御無事で……本当に……」

「え……っ?」

 そう言いながら……お嬢様は……ラートリーに抱き付き……。

「い……いや……ちょっと待って……あの……こいつ倒したの……あたし……」

「あ……あ……あ……」

 ラートリーとアスランは困惑気味。

「ちょっと、むかつくけど……まぁ、あいつが、私のお姉様とお似合いなのは認めざるを得ないわね……。横でマヌケ面になってる阿呆と違ってがさつじゃないし」

 第2王女は……そうコメントし……。

 サティさんは……呆然とした表情のまま固まっている。

「それで、この騒動が鎮圧おさまるかは、やってみないと判らんが……さっき居たのと同じ妙な鳥を……出来れば魔法で撃破すれば、残りの獣化能力者ワーアニマルは闘う理由を失なう筈だ」

 草原の民の女の子はグリフォンガルーダの部族の族長に、そう説明している。

「判った。お前たち、他の2人の獣化能力者ワーアニマルと戦っている王都警固隊に、そう伝えろ」

「はい」

「判りました」

「然るべく」

 草原の民達は、そう答えると、馬に乗って散っていった。

「ラートリー……ヴァルナ……何て事をしてくれた……」

 その時、サティさんの口から……何て言うか……この世の地獄でも見てしまったかのような声が……。

「あ……姉貴……ちょ……ちょっと待ってくれ……」

 ところが、そう答えたのは……何故か……呼ばれてもいないアスラン。

「こんな事が……バレたら……今度こそ……我が一族は……全員、斬首だぞ……」

「何で?」

 どうやら、第2王女も、ボクと同じ疑問を持ったようで……訳が判らんと言った感じの表情と口調で……そう訊いた……。

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