(4)
「お……お前、何言ってんだ? この国の……それも王都で隣国の王子が変な死に方をしたら……」
女騎士のウシャスさんはラートリーに、そう説教していたけど……。
「向こうの国にとっても良い事だぞ。王の器じゃない奴が王になるのを防げるんだぞ。万々歳だろ。たった1人の王子が死ぬ事で、向こうの国も安泰になる。それに変な死に方じゃない。悪い遊びをやりまくってる奴が、性病にしか思えない症状で死ぬんだ。何1つ不審な点が無い良く有る死に方だ」
「ふざけるな。政治や外交はお前の
「第一、王子が他国で性病にしか思えない恥ずかしい死に方をしたとなってみろ、向こうの国も強く出られないし、何なら積極的に死因を隠蔽する筈だ」
「無茶苦茶だ……」
「そっちが台本を書いた田舎芝居にも万事丸く収まるオチが付くんだぞ。ありがたく思え」
「ところで、何書いてんだ?」
そう言ったのは、魔法使いのサティさん。
「手紙だ」
そう言ってラートリーが見せた手紙には……。
『例の毒をすぐに入手の上、隣国の王子が、いつもどこの辺りで遊んでいるかを突き止めろ。ただし、こちらからの指示が有るまで隣国の王子に毒を盛らずに身を守れ。なお、この手紙を受け取ったなら、ちゃんと届いた事を示す返信を寄越せ』
手紙の最後には、ラートリーの胸に描かれてるのと同じ雪豹の印鑑が押されている。
「がじっ?」
その時、第2王女のペットの鳳龍の青い方がやって来た。
ラートリーは、草原の民の言葉で何かを言うと。
「がじっ♪」
「その子達、人間の言葉わかるの?」
「草原の民の言葉ならな」
そう言いながら、ラートリーは手紙を丸めて筒に入れ、鳳龍の背中に背負わせる。
「がじっ♡」
どたどたどたどたどたぁっ♪
「つ……捕まえろ〜ッ‼」
ウシャスさんとサティさんは走り出し……。
え……。
何で、ボクも首根っこつかまれてんの?
「あ……あの……ボクも手伝わないといけないの?」
「当り前だ〜ッ‼」
「でも、王女様のお気に入りだ。殺すなッ‼ 傷付けるなッ‼」
って……。
何で肉体労働者なのに侍女用の靴って、こんなに走りにくいの?
「うわあああ……」
「どけ〜ッ‼」
ウシャスさんとサティさんは、たまたま廊下に居た、初日にボクがブチのめした侍女軍団とぶつかりそうになり……。
「あ、そうだ、あの子捕まえるの手伝ってッ‼」
「あの子?」
「王女様のペット」
「は……はい……みんな、行くわよ」
「はい」
「はい」
「はい」(以下略)
「足が早過ぎるッ」
「大丈夫だ、気配は
そう言って、サティさんは何か呪文を唱え……。
そして……。
廊下でグウグウ寝てる鳳龍を発見。
「た……助かった……」
「あの……連れてきました」
ところが、侍女軍団の1人が変な事を……。
あ……ああ……。
同じ言葉を話してても……意思疎通って難しい……。
その侍女が抱っこしてるのは……もう1匹の赤い鳳龍。
そして、その背後には……しれっとした
「がじぃっ♪」
赤い鳳龍は……侍女の手の中から飛び出して……もう1匹の鳳龍の背中の手紙入りの筒を奪うと……そのまま窓から飛び出て……。
「お……お前……」
「まぁ、少なくとも、私が次の連絡をやるまで、本物の隣国の王子様の身の安全は確保されてる。早く、そっちも巧いオチを考える事だな」
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