(3)

「ねえ、あなた、本当は……私のお姉様だったりしないの?」

 何故か、第2王女が頬っぺたを赤くして目をうるませながら、お嬢様にそう言ってる。

「えっ……?」

「だって……髪と目の色以外は……ずっと、想像してたお姉様にそっくりだし……」

「あ……あの……」

「ほら、お姉様から送られた、この子達も、あなたになついてる……」

「がじっ♪」

「がじっ♪」

 第1王女から第2王女に送られた鳳龍たちは、第2王女が言いたい事を全部言い終る前に、駆け出して……。

「がじがじがじがじがじ♪」

「がじがじがじがじがじ♪」

 その場にやって来たラートリーの足に、頬っぺたをスリスリし始めた。

 唖然とした表情かおになる第2王女と、困ったような表情かおになるラートリー。

「あ……あの……向こうの王子様の代理は……?」

「完全に戦意喪失だな……」

「じゃあ、万事巧く行きそうって事? 向こうの責任で、お姉様と向こうの酋長の息子の結婚は取り止めになるし……」

「ボクとお嬢様も帰れる……」

 ゾクっ……。

 何故か、ボクを睨みつける第2王女……。

 そして、何故か、ボクの背中に走る寒気。

「良い訳有るか。あの男……自分の国に帰ったら殺されるぞ、確実にな……。王子の代理として、この国の王女との結婚を賭けた試合に出たら全戦全敗なんて事になったら、無事で済む筈が無いだろ」

「あ……」

「あ……あ……あ〜……ちょ……ちょっと後味悪いかも……」

「問題は……どのタイミングで、本物の王子様に病死していただくかだな……。ここは、慎重に考えないといけないな。性病そっくりの症状が出る毒は、すぐにでも足が付かない方法で入手出来るが……」

「はぁ?」

「えっ?」

「い……いや……何言ってんの?」

「色々と考えたが、この手が一番良さそうだ。王子様は急病で死亡。試合はお流れ。結婚話もお流れ」

 その場の雰囲気が一瞬で凍り付いた……。

「あ……あの……王子様の従者を殺すのは駄目で、王子様殺すのは良いの?」

「誰か死ななきゃいけないなら……人間として一番腐ってる奴に死んでもらうのが筋だろ」

 ……あ……。

 マズい。

 ボク、かな〜りマズい人に手助けを頼んじゃったのかも……。

「あと……向こうの王子様に死んでいただかないといけない理由は、もう1つ有る。向こうの国の連中も草原の民も完全に見落してる事が有ってな……」

「え……どう云う事?」

「偽物の王子様が勝てるかもしれない種目が有る……。万が一、それに勝たれたら……」

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