第2話
「この中で飛行機のパイロットやってる人居ますか?」
操縦室の状況を確認しなくてはいけない。副パイロットが操縦しているはずだが、この状況ではその副パイロットもテロリストの仲間か脅されている可能性が高い。そのとき、この飛行機を操縦できる人間がいなくてはどっちにしても墜落してしまう。
「俺、免許持ってます」
手を挙げたのは先程人質となっていた男性だった。だがその手は震えていて、顔面蒼白の状態だ。
「その、免許、取ったばっかなんですけど、僕しかいないんだったら、頑張ります」
泣き出しそうな表情で決意を口にする男性。心配にはなるが、今は彼を宛にするしかない。
「行きますよ」
「は、はい」
急いで操縦室に向かった。そこには銃を突きつけられている副パイロットがいた。
「あの、銃を構えてるのがテロリストの仲間か」
「たぶん」
だいぶ怯えた表情で運転する副パイロット。何を言っているのかは聞こえないが、テロリストの仲間が指示を出したのは分かった。時間がない。手をぎゅうっと握り締めた。そして脱力する。興奮で上がった脈を意識して落ち着くよう促す。
先程拾ったツボの欠片で後ろから頭を思いっきり殴った。そして、縄で身体を縛り付ける。手に持っていた銃は取り上げた。
それでまあ、この飛行機は無事近くの空港に不時着したのである。
「そのときの状況は?」
「なぜ乗り込んだのですか?」
そして、警察に詰め寄られた。そうなるだろうとは思っていたが予想以上に精神をすり減らすのだなと思考力の落ちた頭で考えた。
ちなみに俺の働いていた会社は俺の証言によって労働基準法を守る気がないとかで摘発された。ようやく開放された、から一応ハッピーエンドでめでたしめでたしなのかな。
まあ今俺無職だけどな。
緊急操縦 堕なの。 @danano
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