第2話 認識
「うわあああああああああああ!!!」
思わず叫んでしまった。
乱れた呼吸を整えるように、大きく息を吸いながら冷静さを取り戻すように促す。
次第に全身から噴き出た雫が衣類に吸水され大きな水たまりとなっていた。
断じて言うが、これはおねしょではない。
おねしょは10歳の時を境に決別したのだ。
そう自分に言い聞かせつつも、もしやと思いズボンを捲るが強烈なアンモニア臭はなくこれはやはり汗であると確信し事なきを得た。
いくら嫌な夢を見たからといって、世の中にはやって良いことと悪いことがあるのだ。
俺は自身の沽券を守れたことを誇りに思いつつ、見ていた夢の事を思い出た。
『ーーお前はクビだ』
「夢…じゃないんだよな」
ため息が出る。
何でこんなことになってしまったんだろうか。
俺はただ毎日生きることに必死で、仲間たちと共に歩んできただけなのに。
何で俺だけこんな目に合わなくちゃいけないんだ。
今更言っても仕方のないことばかりが頭に浮かぶ。
俺が何をしたって…いや、何もしてないからダメだったんだよな…
そう思うと変に冷静になってしまった。
起床してすぐに牛乳を飲み、朝食を食べてからシャワーを浴びながら歯を磨きギルドへ向かう。
そんな当たり前だと思っていた日常が消え去った現実に未だ戸惑いを隠せない。
何をしようにも思考がまとまらず、自分の中に大きな穴がぽっかりと空いてしまったようだ。
体が動きそうもない、動く事を明確に拒否している、俺の直感がそう告げているのだ。
そうこうしているとコンコンとドアが鳴った。
転生したらネタ @syunoyome
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