第1話 fresh "mate-rial flow" ④
「はー、おもしろかったね!」
工場見学の休憩時間。
学生たちに貸し切られた第二食堂で、そういえば、
「今日のお弁当、お母さんがミートボール入れてくれたの! チーズもインなんだよ?」
一方、
ところが、
すると
「いくらわたしらの舌に合うからって、
その言葉のもとで、
白いチーズが中からこぼれ出てくる。肉に混じったぷりぷりの白い
「うん……」
「しずりちゃんさ、もう加工場でフレッシュミートになってたりしないかな?」
右隣の子がさえずるように言った。
「そんなわけないじゃんっ!」
あふれ出した
「きっと何にもならないよ。それよりさ、次しずりん来るときっ――」
「こら、食べながら話さないの!」
友だちにとがめられ、
「次ね、しずりん来たら、どんなかな? よちよち赤ちゃんで来るのかなぁ?」
「わたし、赤ちゃんなんて見たことないよ。経年何年くらいで歩くんだっけ?」
「さあ? それより――」
「ごめん! わたし、トイレ!」
元気よく
後ろから「外出て右にまっすぐだよー」と友だちが声で知らせてくれる。
するとするどい声が聞こえてくる。
「どこ見て歩いてんだよ! オマエ!」
幸いなことに、そのケンカ腰の剣幕が向かう先にいたのは
それを含んで、廊下に影は4つ。
ツーブロックの
そしてツーブロの周りに二人、見るからに
金魚の糞の一本が
二人は情けない顔つきと四本の腕で、労働用スキンの身体を押さえつけていた。
「おい、お前がよそ見してたせいで、
二人のひとりがガラガラと吐き捨てる。先ほどの
廊下の
廊下の奥から第二食堂側に向かう力と、
ところがツーブロックの髪の愛玩用スキンは突然、口をすすぐような上品さでこう述べたのだ。
「いいんだ、二人とも。ぼくも不注意だった。そのひとばかりを責めることはできない」
その言葉を聞いて、二人は労働用スキンを掴まえる四本の腕をゆるめる。
「ああ。工場長にも責任を取って、このスキンを
深い呼吸。
その後、ツーブロックの髪の愛玩用スキンは、
当面の労働用スキンは、急にひどくあせったようすでうめき声を上げる。
「あぁ、そっ、それだけは……」
「使い捨ての道具のくせに、ぼくのけがを
含み笑いをする誰か。それにつられて誰かも
そういうところに、重大な足音が近づいてくる。
「ヒロシっ!」
叫び声がした。第二食堂と反対側の廊下の奥。
走って来る。
はげ上がった頭。
第一世代ではない。
労働用スキンか。
肉体労働に特化した道具と、教養・贅沢を
「はなせよっ、おい!」
ツーブロックの愛玩用スキンがさけぶ。
服に
ツーブロックの愛玩用スキンはひっしな
「なんとか言えよ! 考える頭も人権もないくせに、何怒ってんだよ? お前どうせ
「死なせて」から先の言葉を、
ソプラノリコーダーですら頭を取ってもビュルルと鳴るというのに。
通りすがりの労働用スキンに頭をもがれ
何かしらの研究に役立つかもしれないからと、
「ああ……なんてことだ、僕の工場で『バグ』が、あぁ、出るなんて……」
どれくらいかの時間が経ち、
廊下で頭をひっくり返し、
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