第29話 呑んべえたち
月曜)
定時(夜10時)まで仕事をしてから、課の全員で飲みに行く。
会社近くの一番安い居酒屋だ。
全員で乾杯をしグラスをぶつけ合う。衝撃でグラスが砕け周囲にサワーが飛び散る。
店員を呼びつけて皆で叱る。
「駄目じゃない。こんなグラスだしちゃ」
飲む前からすでに酔っ払いである。
仕事ハイである。中には徹夜ハイもいる。三連徹をこなし、鉄人の称号を貰った者もいる。
火曜)
定時(夜10時)まで仕事をしてから、課の全員で飲みに行く。
なんだかデジャブのような感じがするがもちろん気のせいである。
持っていた傘で通りすがりのタクシーを叩き土下座する者が出る。
水曜)
今日は定時(夕刻5時)退社日だ。全員でそのまま残業し、本来の定時(夜10時)まで仕事をしてから、皆で飲みに行く。
もはやストレス・マックスで酒が無いと生きていけないのだ。残業代がすべて酒に化ける。
木曜)
定時(夜10時)まで仕事をしてから、課の全員で飲みに行く。
いくら飲んでも次の日の朝はきちんと出社する。
そういえばどこかの課に飲むと必ず次の日の朝は遅刻するという人がいた。
その課の課長が何度注意しても聞かないので、直接男の行きつけの居酒屋に行き、もうあの男には飲ませないでくれと頼んだ。
馬鹿である。見も知らぬ男の頼みを聞く義理はお店にはない。
これが部下に知れると、部下は会社をその場で辞め、韓国の会社に移籍した。
その年から年収二千万円を提示されたらしい。
大笑い。
金曜)
定時(夜10時)まで仕事をしてから、課の全員で飲みに行く。
今日は花の金曜日だ。夜二時の閉店まで心ゆくまで飲む。
土曜)
休日残業をしてから、課の全員で飲みに行く。
もはやアル中の世界である。
日曜)
今は忙しくない時期なので、さすがに日曜に休日出勤する者は少ない。
なので飲みに行くのは止める。肝臓がひさしぶりの休日に涙を流して喜ぶ。
こういった状況の中で、E先輩は新しい携帯型パソコンの開発担当だった。さまざまなパーツの購入も一手に引き受けていたので購入先から飲みの誘いが常にかかる。
忘年会の時期がすさまじかった。
連日飲み続けてついに二十七日間連続宴会出席の偉業を打ち立てた。
若くして急性白血病で死んだ彼の魂に平穏あれ。天国が禁酒でありませんように。
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