第22話 当然の結末
パソコンの新機種用のデモプログラムができて来たので同僚と見に行く。
恐ろしく酷かった。
雑な画像が何枚か。パソコンのスペックをずらずらと並べる。それと画面二枚分の画像を左右にパンして見せるだけ。
これでお値段は五百万円である。(現在の価格で約一千万円)
「いや、これひどい」皆で呆れた。
「おい、まさかこれで宣伝するつもりのか? 逆効果じゃないか?」
「俺ならこれ見たら絶対に買わない」
比較のためにその横にライバル社のパソコンのデモを並べる。
凄かった。
映像も素晴らしかったが、子供のお絵描き帳のデモなどは背景で楽しい音楽までついている。映像センスやデモの組み立てが根本から異なるのだ。
皆で三回ほど繰り返して見てしまった。うん、こりゃ見飽きないわ。
「こりゃ勝てんわ」皆の意見が一致する。
なお、ウチのデモプログラムはさすがに課長が作成元に突き返した。
大人しい課長もさすがにこう怒鳴ったと云う。
「こんなもので金を取るつもりか!」
この会社のソフト系子会社にはロクなものがいない。
これには立派な訳がある。
本社の業績が少しでも落ちると、この会社は外部発注一切禁止令を出すのだ。
経営体制が脆弱なソフト会社などがこれを食らうと一たまりもなく倒産する。そのためマトモなソフト会社は取引しないのだ。その結果生き残るのはいい加減な会社だけとなる。
すべては自業自得なのである。
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